42歳「稲本潤一」が南葛SCに加入 注目の「23区内クラブ」で期待される役割

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期待される集客力

 さらに、まだ東京都リーグ1部ではあるが、将来のJリーグを渋谷区から目指す渋谷シティFCは、元日本代表の戸田和幸氏をテクニカルダイレクター兼コーチとして迎え、新シーズンは関東リーグ2部昇格を目指す。そしてクリアソン新宿にしても渋谷シティFCにしても、経営陣が若いことと、区内に伸び盛りのIT企業など優良なスポンサー候補が多いことなどが共通している。

 そしてこれは余談だが、南葛SCは稲本の、渋谷シティFCは全選手の契約報酬の一部に、株式会社フィナンシェの提供するクラブトークンを採用する。さらにこの2チームだけでなく、Jクラブや地域リーグのチーム、ビーチサッカーや個人では本田圭祐氏が、同社のクラブトークンを利用していることがホームページで紹介されていた。

 いま現在は多くのチームがオフのため、カズも自主トレの毎日である。しかしチームが始動すれば、鈴鹿の練習場にはテレビカメラはもちろん、スポーツ紙の記者・カメラマンが詰めかけるだろうし、それは間違いなく地域の活性化にもつながるだろう。こうした現象は南葛SCも同様だ。誰もが1度はホームゲームの開幕戦を見てみたいと地元ファンは思うはず。

稲本の美学

 肝心の稲本のプレーだが、そのヒントはクリアソン新宿のCB小林祐三にある。柏や横浜FMではスタミナとスピードを生かして右サイドバックとして活躍した。しかし小林は、クリアソン新宿ではCBを務めることで、スピードとスタミナの衰えを経験と先を読んだプレーでカバー。チームに落ち着きをもたらして安定した成績につなげた。

 稲本自身も2010年に川崎Fへ加入したときは、風間八宏監督(現C大阪技術委員長)にボランチからCBへコンバートされた経験がある。屈強なフィジカルは関東リーグ1部では脅威となるに違いない。対戦相手にしても、稲本とマッチアップできる楽しみが増えることだろう。

 中田英寿氏のように、06年ドイツW杯で敗退後、スパッと現役生活に別れを告げるサッカー人生がある一方で、カズや稲本のように現役にこだわるのもまた彼らのサッカー人生であり、美学と言えるのではないだろうか。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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