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「発症前の濃厚接触者を捕捉する必要がない」

 琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科教授で、沖縄県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長の藤田次郎氏が説明する。

「第6波で沖縄県は、感染症対策で最も重要なポイントとなる潜伏期間について、全国に先んじて発見できたことが非常に大きいと思う。沖縄県のデータでは、デルタ株は平均5.6日、最長14日でした。一方、オミクロン株は平均2日で最長5日。すべての方が5日以内に発症しており、ほぼ異なった病気になったといえるでしょう。もう一つ大事なのが、ウイルスを排出するピーク。デルタ株は発症時にはウイルス排出量がピークを迎えており、発症2日前まで遡って濃厚接触者を探していました。これが困難でしたが、オミクロン株は発症して3~6日後にピークがくるので、発症前の濃厚接触者を捕捉する必要がありません。熱が出たときに接触していた人だけが、その後5日間気をつければよいことになる。保健所の業務が軽減します」

「致死率は2万3千分の1」

 現状、発症から2日遡って、濃厚接触者を必死に洗い出しているが、それが無駄であるなら、早急な見直しが必要である。また、

「沖縄県では第6波に入って2万3千人以上が感染しましたが、残念ながら亡くなった方は、1月24日現在、70代のお一人です。致死率は2万3千分の1。インフルエンザより低くなります。デルタ株は致死率が2~3%でしたから、状況はまったく変わりました。私自身の臨床医の視点からいえば、肺炎の症例は少なく、デルタ株では病棟で肺炎の治療に当たることが多かったのが、いまは認知症や糖尿病、肥満など基礎疾患の治療に当たることが多いくらいです。血管炎がないのも大きい。全身の病気ではなくなっているということです」

 そして、こう話す。

「沖縄県は真っ先にオミクロン株を経験し、約1カ月が経過し全貌が見えてきました。琉球という人口147万人の島嶼圏だからこそ、潜伏期やウイルス排出のピーク、致死率なども正確に出すことができました」

 だが、これだけわかったオミクロン株を、テレビはどう伝えているか。前出と同じ日の同じ番組で、日本医科大学特任教授の北村義浩氏は、「オミクロンというものがよくわからないというのが一番の根源です」「インフルエンザと一緒とは絶対に言えないです」と、解説しているのである。

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