韓国は猿芝居外交のあげく四面楚歌に… 「文在寅」退任でも日韓関係は修復せず
三者会談と強弁
もっとも韓国メディアは保守系紙を含め「南北米の三者会談」と報じました。38度線上で会った米朝首脳が韓国側の建物に戻る際、文在寅大統領も短時間、横を歩いたことを根拠に韓国政府がそう書かせたのです。
一方、北朝鮮が「花を持たせた」のは、文在寅政権が公式・非公式のドル支援を約束したからと見られます。しかし、それを警戒した米国が開城工業団地の再開に反対したうえ、韓国企業経由の対北支援に目を光らせたため、北朝鮮は思うようにカネを貰えませんでした。
北朝鮮は2020年6月16日、開城工業団地の南北共同連絡事務所を爆破しました。韓国民間団体の拡声器による対北宣伝放送に警告を発したとの見方もありますが、対北放送は前から実施されていました。
この事務所は南北の平和共存の象徴で、韓国側の資金で建設しました。それから考えると、米国に逆らえない文在寅政権に怒った北朝鮮が「約束通りにカネを払え。嫌なら核実験を再開するぞ」と催促したと見るのが自然です。金正恩委員長は文在寅大統領と3度も首脳会談を開いてやっているので、その請求書でもあったのでしょうが。
韓国は中朝の使い走り
――結局、政権末期になってボロが出てきた……。
鈴置:北朝鮮との関係だけではありません。唯一の同盟国である米国との関係も完全におかしくなりました。2022年に入り北朝鮮がミサイルを毎週のように撃っている。それなのに、米韓の外相は電話協議を一切していません。過去にこんなことはなかった。
緊密に連絡を取る日米外相とは対照的です。米国にとって、対北制裁解除ばかり唱える韓国は「北朝鮮の使い走り」にしか見えない。韓国と協議しても何の対北牽制にならないと判断したのでしょう。
韓国は米国から「中国の使い走り」とも見なされています。1月21日、日米首脳が電話で協議し、2022年の晩春にバイデン大統領が訪日、「Quad(クアッド)」の対面での首脳会議を開くことで合意しました。
Quadは対中包囲を念頭に置いた日米豪印の4カ国の枠組みで、中国に気兼ねする韓国はQuadに入らなかったのです。少し前まで、米国は「日米韓」を土台にアジアの安全保障の枠組みを作っていたのを考えると、隔世の感があります。
保守系紙、朝鮮日報は日米が結束を固める中、韓国が除け者になっていると嘆きました。「バイデンが『春に日本に行く』…訪韓は検討もせず」(1月24日、韓国語版)です。
文在寅政権が参加を拒絶したのですから韓国が文句を言う筋合いはありません。しかし、親米派の保守とすれば、米韓同盟消滅を座視するわけにはいきません。
米韓同盟に入った亀裂を見てとった中国は韓国圧迫に拍車をかけるでしょう。米国の後ろ盾のない韓国など、中国から見れば吹けば飛ぶような存在なのです。
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