選抜高校野球は問題だらけ 「21世紀枠」以外にもある“不可解な選考方法”

スポーツ 野球

  • ブックマーク

「どうすれば選ばれるか誰も分からない」

 一方、以前に「21世紀枠」の最終候補となりながら、落選したチームの監督に以下のような話を聞いたことがある。

「『21世紀枠』はどうすれば選ばれるか誰も分からないし、こちらで何をしたら
良いかということもないのが難しい。周りの期待は大きくなる分、最後に落選するのは監督も選手もショックは大きくなります」

 過去には「高校野球の模範的な姿を実践している」として推薦されたはずの学校が不祥事を起こして選考会を前に辞退するというケースが何度も起こっている。

 また、今年の愛媛県の推薦校は、春2回、夏5回の甲子園優勝を誇る松山商が選ばれているが、これだけ過去に実績のある学校を選ぶことに対して否定的な意見も少なくなかった。21世紀に入り20年以上が経つだけに、何かしらの21世紀枠の選考基準の見直しは必要だろう。

“手堅い野球”が好まれる傾向

 そして、選考に問題があるのは21世紀枠だけではない。一般枠の選考についても、首を傾げたくなるようなケースが多いのだ。不思議な選考理由の例を挙げればきりがないが、なぜか必要以上に評価されるのが、守備面と好投手の存在である。

 野球は本来、点を取り合うゲームのため、ホームランが多く飛び出るような豪快な打撃のチームが高く評価されてもおかしくないはずだが、選抜高校野球の選考理由としてはなぜか“手堅い野球”が好まれる傾向が強い。

「過去にも『基本に忠実な腰を落とした守備』や『センター返しのできる粘り強い打線』が選考理由となったことや、超高校級の投手を擁する学校が繰り上がった例もありました」(高校野球の歴史に詳しい野球ライター)

 まずは投手を中心とした守備をしっかりと固め、攻撃面では送りバントと単打で確実に1点をとりにいく野球が高校野球としては相応しい、そんな古い固定観念を押し付けているようにも感じられる。プロの世界ではホームランや長打の重要性が年々高まっている一方で、育成年代の高校野球では、全く違う野球が高く評価されるという矛盾は理解に苦しむところだ。

次ページ:参加チーム数の地域差も問題

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。