松たか子、父親・松本白鸚の偉業達成に「尊敬しかない」 「ラ・マンチャの男」で10年ぶりに共演
感無量
「いまも昔も、ミュージカルのファンは圧倒的に女性が中心。ところが『ラ・マンチャの男』だけは、男性客がとても多い。理由は劇中歌『見果てぬ夢』にもあると見られています」(同)
歌詞にはこうある。
〈夢は実り難く 敵は数多(あまた)なりとも 胸に悲しみを秘めて 我は勇みて行かん〉
逆境に抗う孤独な姿が激しい競争社会に生きるビジネスマンの共感を呼び、政財界の大物のファンも少なくないというのだ。
主役を担う白鸚が自身の歩みを振り返って言う。
「初演から50年以上が経ち、感無量でございます。人間としても俳優としても幸せ者です。演じたい人が多い中、私が主演できたのが奇跡なら、これまで続いてきたのも奇跡。チケットを買って見に来て下さる、お客様の力だと思います」
やはり、作品への思い入れはひとしおのご様子だ。
「願えば最後には夢が叶うという芝居が多い中、囚人ばかりのこの作品では叶いません。半世紀以上演じてきた“男は負けると分かっていても、時には闘わなければいけない”というテーマには、俳優・白鸚としての生き方が重なりました。“あるべき姿のために闘う心”を失わないようにと」
半世紀前の渡米も「悩んだ末の決断」という。まさしく“闘うべき時”だったに違いない。
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