「HIS澤田社長」が50億円を騙し取られていた! 金庫番の「リクルート株投資」めぐる裁判で判明

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300万株50億円

 2018年11月、「アジアコインオークション」なる会社の経営者、石川雄太氏が、58億3000万円の支払いを被告8人に求めて東京地裁に提訴した。「リクルート株投資」で騙されたとの理由だが、この裁判から、旅行代理店大手「エイチ・アイ・エス」やテーマパーク「ハウステンボス」を率いる澤田秀雄社長が50億円を騙し取られた事実が浮き彫りになった。

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 リクルート株投資で50億円を詐取された主役は、石川氏ではなく澤田社長である。しかし、石川氏の「訴状」に澤田社長の名前は一切記されていない。ならば、いかなる経緯で澤田社長は被害に遭ったのか。

 石川氏はハウステンボスの事業で澤田社長の信頼を得て、個人的な資産運用も任されるようになっていた人物。その「金庫番」が訴えたうちの一人、投資コンサルタントの百武資薫(ひゃくたけよしのぶ)氏によると、リクルート株の話は、17年の秋、ある財団の理事から持ち込まれたという。

 かつて、リクルート創業者の故・江副浩正元会長が安定株主対策のため、政治家や企業経営者などにリクルート株を無償あるいは破格の安値で分配した。その後、株式分割で増加した株は、リクルートの「株主名簿管理人」である三菱UFJ信託銀行に預けられている。株の所有者は複数いるが、名前を明かさずにすぐに売却できるのなら、相場より2割程度安値でも構わない意向で、現在、300万株が50億円で売りに出されている――。

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