韓国で続出するビルの悲劇「タワマンの床が抜けた」「足で蹴ると壊れるほどの強度」「凍ったコンクリート」「強風に煽られて崩壊」

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タクシーが降ってきた

 韓国では年末から年始にかけてビルに関する事故が相次いだ。安全意識の低さやずさんな工事の結果と思しき、耳を疑うような悲劇が続出しており、日本人にとっても対岸の火事とは言えない案件もあるという。現地在住・羽田真代氏のレポート。

 昨年12月30日、釜山(プサン)市の大手スーパーの5階駐車場からタクシーが外壁を突き破って転落し、運転手が死亡した。運転手は時速70キロで外壁に突っ込んだようで、その過失は問われてしかるべきだが、転落にまで至った原因として挙げられているのが外壁のもろさだ。それは「成人が足で蹴ると壊れるほどの強度」だったなどと報じられている。この事故で8名の死傷者が出たというから、スーパーおよび施工会社は責任を免れないだろう。

 さらに翌31日には、高陽(コヤン)市にある商業ビル地下3階の柱に大きなひびが入り、建物崩壊の危険があるとして、客や従業員が避難する騒ぎがあった。ビルの地下駐車場入口前の道路は一部が陥没した。

 年が明け、1月11日には「HDC現代産業開発」が手掛ける光州(クァンジュ)市の高層マンションで建物の崩落事故が発生。39階の屋上でコンクリート打設中に23階から38階が崩壊したのだ。韓国メディアはおしなべて“外壁崩落事故”と報道しているが、外壁はもちろん各階の床が抜け落ちており、この事故によって6人が行方不明となった。

マンション崩壊の原因は

 ちなみにHDC現代産業開発は昨年6月にも、光州市で死者9人を含む計17人の死傷者を出す事故を起こしたばかり。この事故の当事者は業務上過失致死傷の容疑で起訴され、裁判が進められているところだった。

 今回事故が発生したマンションは街の中心に近い住・商複合ビルで、2020年3月に着工、今年11月の入居予定であった。分譲価格は115平方メートル:5億7000万ウォン(約5500万円)から299平方メートル:19億2400万ウォン(約1億8400万円)とされ、平均競争率は62倍。かなり人気と言えるだろう。

 マンション崩壊の原因として養生期間の不足のほか、「凍ったコンクリートも考えられる」と指摘する専門家の声がある。中央日報の記事によれば、韓国のマンション建設現場では鉄筋を設置して型枠を作りコンクリートを注入する伝統的な工法を用いているそうだ。「通常、コンクリートは5度以上の気温で打設し固めなければならない」とこの専門家は指摘するのだが、冬の韓国ではほぼ不可能だろう。事故当時の光州市の気温は最高3.0度、最低-3.5度だった。

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