6代目山口組傘下、水戸の幹部射殺事件 ケーキ片手のヒットマンに丸腰で現れた若頭
絆會側からの「返し」?
前述の暴力団幹部の言葉からは、今回の事件が、山口組の分裂に伴う引き抜き問題をきっかけに、絆會側が6代目側に襲撃をしかけたとの「見立て」が窺える。実際、昨年12月には、三瓶組の組員が絆會の傘下組織組員を襲撃し、けがを負わせる傷害事件が発生していた。
暴力団事情に詳しい警察幹部は、
「一連の事件は、引き抜きでモメたとされる絆會の傘下組織の側が、三瓶組の上部団体を騙(かた)って悪さをしたことがきっかけのようです。昨年末の傷害事件は、これに怒った三瓶組が、絆會の傘下組織の組員をボコボコにしたものと聞いています。これらの経緯を考えると、今回の三瓶組若頭射殺事件は、絆會側からの『返し』(報復)と見ることもできるでしょう」
ただ、今回の事件には、敵対中の組織、つまり絆會側からの襲撃とみるには不自然な点もいくつかあるという。
別の暴力団関係者によると、
「襲撃を実行した人物は、三瓶組の事務所に向かう前に、近くのケーキ店に立ち寄ったと聞いています。どうも客のふりをして三瓶組の事務所を訪れようと、目くらましに手土産のケーキを買ったらしい」
そして、突然の来客対応のために外に出てきた神部氏の腹に銃弾を一発撃ち込み、さらに組事務所に逃げ帰ろうとした神部氏の頭に追加の一発をお見舞いしたというわけだが……。
様々な線で捜査
この関係者が続ける。
「ただ、これが絆會側の報復だとすれば、抗争中の組織の組員が突然訪ねてきたというのに、何も警戒せず丸腰で対応した神部さんの行動には疑問が残ります」
さらに、捜査関係者によれば、「カタギ」になると一筆書いた絆會側の幹部は、今回の射殺事件後に自ら茨城県警を訪れ、「自分は無関係」との主張をしているのだという。
警察庁の統計によれば、2020年末の構成員の数は6代目山口組の約3800人に対して絆會は約230人と、実力の差は歴然としている。
「絆會の織田は、配下の組員たちに、表向きは“他の団体と揉めるな”という姿勢をとっている。勢力の差から言っても6代目側に睨まれたら絆會はひとたまりもないというのが本音。だから茨城県警も今回の事件について単純な報復ではなく、他の組織の関与や神部氏個人のトラブルなど様々な線で捜査をしています」(先の警察幹部)
実は今回の事件が起こった三瓶組のビルが襲撃されるのは、今回が初めてではない。2016年3月中旬には、ビルの1階駐車場に火炎瓶のようなものが投げ入れられているのだ。
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