「東大刺傷事件」犯行少年、卒業文集に「勉強が自分を苦しめた」の言葉 母も困惑した「理III」への執着

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学校行事で芦田愛菜について熱弁

 同学年の知人が語る。

「うちの学校は1学年が約400人ですが、“外来”と呼ばれる高校からの入学組は40人ほど。生徒は2年生と3年生に進級するタイミングで、成績別にA群とB群に分けられます。内訳は理系A群が3クラス、文系A群が1クラス、文系B群が1クラス、その他が理系B群です。ちなみに彼は成績上位者が集まる理系A群に入っていました」

 高校では周囲からどのように見られていたのか。

「時間があれば参考書を開くような真面目なタイプですが、一方で、目立ちたがり屋な面もあった。たとえば、高1の秋に行われた生徒会役員選挙。入学して半年ほどの“外来”の生徒が立候補することは珍しいんですが、彼がいきなり出馬しまして……。クラスの備え付けテレビで“政見放送”が流されたときも、他の候補のほとんどはウケ狙いだったのに、彼だけが真面目に公約を語っていました。ただ、公約のひとつに“茶髪の自由化”を掲げていたのが印象的でしたね」

 中学から繰り上がった“内来”組は、そんな彼に苦笑いを浮かべていたそうだが、別の在校生によれば、

「うちの学校は本当にいろんなタイプの生徒がいるので、イジメられたりはしていません。彼もただのガリ勉ではなく、学校行事にも積極的に参加していました。昨年2月に、希望する生徒が講師役となって自分の好きな物をプレゼンする行事があって、彼はそこで女優の芦田愛菜さんについて熱弁をふるったんです。彼女について喋ったら注目を集められそうと思ったようで、結構ウケていましたよ」

生徒は自由奔放

 取材を続けると、有名進学校でありながら、生徒の自主性を重んじる同校の校風が浮かび上がってくる。

 先の在校生が続ける。

「今回の事件を受けて、ネット上では“東海高校は指導が厳しく、教師が勉強を厳しく強制してくる”といった書き込みもありますが、根も葉もない噂。何より、生徒の自主性と自由を重んじる学校で、先生が生徒に進学先を強いるようなこともありません」

 その点に首肯するのは、さる卒業生だ。

「僕らの頃はPSP(プレイステーション・ポータブル)を持ち込んで、授業中によく『モンスターハンター』のオンライン対戦をしていました。あと、生徒のイタズラも手が込んでいて、PCを使う授業の時にハッキングを試みた奴がいたんですね。実際、勝手にコードを書き換えて教室内のすべてのPCから同じ音が鳴り始めたことも。とにかく生徒は自由奔放でしたが、先生方はよっぽどのことがない限り怒らない。端的に言えば、“授業を受けたくない生徒は受けなくてもいい。その代わり授業を受けたい生徒の邪魔はするな”という感じでした」

 他方、今回の少年が高校に入ってから大きな挫折を経験した可能性も案じられるという。

「狭き門をくぐり抜けて入学した“外来”の生徒は、基本的に真面目で成績も悪くない。ただ、“内来”の生徒のなかには圧倒的に地頭が良い連中がいるんです。それこそ、全然勉強していないのに共通テストの模試で9割近く解けてしまうとか。それを目の当たりにしてショックを受けてもおかしくない」(同)

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