「東大刺傷事件」犯行少年、卒業文集に「勉強が自分を苦しめた」の言葉 母も困惑した「理III」への執着

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卒業文集に「勉強をやり続けていきます」

 ちなみに、小学校の卒業文集には、彼の書いたこんな作文が掲載されている。

〈この六年間での一番の思い出は、友達がたくさんできたことです。(中略)大人になるにつれて、増えていく友達や仲間、町の人などとの関係を大切にし、小学校生活以上に仲よくしていきたいです〉

 新しく友達ができたことの喜びや、感謝の気持ちが文章全体に溢れている。

 だが、中学校の卒業文集では雰囲気が一変する。それが冒頭で紹介した〈勉強〉と題された作文だ。

 一読すると、彼が本格的に勉強を始めたのは〈小学四・五年生〉の頃で、当時の成績は〈平均よりちょっと上〉くらいだったのだが、中学校に入って意識が大きく変わったという。

〈まず順位というものが自分に大きな影響を与えました。特に二年生の時、大暴落を受け心が折れかけたことがあります。しかし、逆にそれがきっかけになり、後の学習態度や方法が一掃され、上位に追いつめることができました〉

 その上で、

〈これからも中学校で学んだ勉強の重要さ、苦しさ、楽しさを忘れず「勉強」をやり続けていきます〉

 と締め括っている。

卒業式でも「問題集」

 無論、自ら進んで勉強する子どもを叱る親は稀だろう。だが、異常なまでに勉強に熱を入れる息子に対し、彼の母親は困惑を隠せなかったようだ。

 ママ友のひとりが明かす。

「彼のお父さんは地元の大学で職員をされていて、お母さんは専業主婦だったと思います。4人きょうだいの長男である彼は、中学校でも成績が抜群に良かった。マイペースな性格なので、お母さんも“うちの息子は変わってるんですよ”と話していました。両親は子どもの進学先にこだわりがないのに、彼は中学3年の頃から“絶対に東大に行きたい”“理IIIに合格したい”と口にするようになったそうです。お母さんは彼を応援しつつも、“行きたいと言って行ける学校でもないと思いますけど……”とむしろ困惑した様子でした。深夜までブツブツとひとりごとを言いながら勉強し続けていたそうで、いつか体調を崩すんじゃないかと心配していました」

 少年の“東大一直線”ぶりを物語るエピソードは他にもある。

「中学校の卒業式でのことです。ちょうどコロナが流行り出した頃だったので、集合写真は校外で撮影することになりました。そのときに彼が“本”を持ち歩いていたんですね。よく見ると共通テストの問題集で、写真撮影の合間にもページをめくりながら真剣に読み込んでいました。中学の卒業式には関心を示さず、寸暇を惜しんで大学受験のための勉強をしていたわけです。あの姿にはさすがに驚かされました」(別の保護者)

 中学卒業後、東大への強い思いを募らせる少年は、地元愛知が誇る名門・東海高校に入学を果たす。

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