「東大刺傷事件」犯行少年、卒業文集に「勉強が自分を苦しめた」の言葉 母も困惑した「理III」への執着

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電車テロがもし完遂していたら…

 問題はそれだけに留まらない。少年は事件前日に高速バスで名古屋を発ち、翌日の午前6時頃に東京駅に着いている。その後、大手町駅から後楽園駅を経由して南北線に乗り換え、東大前駅で下車した。

 東京メトロの広報担当者によると、事件発生とほぼ同時刻に、

「“車内のリュックサックから液体がこぼれている”と乗客から赤羽岩淵駅に外線が入りました。すぐに乗客全員を下車させ、警察と消防に確認してもらいました。また、同じ頃、東大前駅の複数個所で不審火が発生して駅員が消火活動に当たっています」

 少年は取り調べに対して、「医者になるため東大を目指して勉強していたが、1年前から成績が振るわなくなった。医者になれないなら人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと思った」「駅で火を放った」「(電車内に)液体をまいて火をつけようとしたものの、うまくいかなかった」と語る。

 もし彼が“電車テロ”を完遂し、“火炎瓶”に火を付けていれば、より多くの人命が危機に晒されていたことは言うまでもない。

「東大の理IIIに入る」

 実は、愛知県名古屋市に住むこの少年が通っていたのは、県下随一の進学校・東海高校だった。

 国立公立大医学部への進学実績では、灘やラ・サール、東大寺学園といった有名校を抑えて14年連続トップ。先日死去した海部俊樹元総理をはじめ、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー、「今でしょ!」の林修先生など、同高の卒業生は多士済々だ。

 そんな名門高校に入学した当初から、少年は「東大の理IIIに入る」と公言していたという。“理III”とは、多くの学生が東大医学部医学科に進学する理科III類のことで、大学受験の頂点と呼んでも過言ではない。

 少年が最難関大学を志すようになった経緯を探るため、小中学校の同級生に当時の様子を尋ねると、

「彼は小学校時代からブラスバンド部に所属していました。楽器はユーフォニアムを担当し、中学校でも吹奏楽部に入っていた。どちらも部員は20~30人ほどで、そのほとんどは女子生徒です。小学校では男子が2、3人、中学校は男子が彼ひとりだったと思います。でも、浮いている感じはなく練習が終わると女子部員たちと仲良く下校していました。口数が少なくておとなしい印象でしたが、当時から成績は良かったですね」

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