「数学のお兄さん」横山明日希の誕生秘話 「数学の楽しさを伝えるプロ」を目指した理由とは
消えていた数学へのモチベーション
「数学のお兄さん」として、講演や著書を通じて数学の楽しさを全世代に発信する横山明日希さん。稀有な職業に就くまでには、早稲田大学在学時代のさまざまな葛藤があったという。彼はどうやって数字を楽しむプロになったのか。
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「数学の楽しさを伝える活動をしています」
そう答えると、多くの人が興味津々な様子で「へぇ、面白いことしているね」と反応してくれる。もちろん、「うわ、数学、無理」といった反応の人もいるが、意外と少ない。
19歳、大学生、専攻は数学。無難に大学1年生で必要な単位を取り終えたものの、日々が充実しているとはいえなかった。いや、「つまらなかった」とはっきり言っていい1年間だった。さまざまな理由があったが、一番は目的を失っていたことだ。僕は将来何になるんだろう? と。今振り返ると、それまであまり将来の職業を考えずに突き進んでいたのである。
高校時代、数学が好きで、とにかく受験勉強は数学三昧だった。夏休み中に400時間という勉強時間を達成するために先生から渡された、400のマスが書かれた学習計画表に、半分以上「M」の文字(Mathematicsの頭文字「M」で数学の時間を記録していた)が並ぶほどだった。数学を勉強しては、休憩時間と称して数学の本を読む。ただ数学が好きだからそのまま数学科へ、といった進路選択だったのだ。
大学で同じ学科にいた同級生のなかには研究者を目指す人、高度な数学を扱う保険や金融の専門職を目指す人、そして先生を目指す人。もちろんなかには僕と同様にまだ何も決まっていない人たちもいたが、彼らの楽観的な態度が逆に僕を焦らせていた。気が付けば、あれだけ好きだった数学へのモチベーションも消えていた。
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