「無断帰国」に「通訳を窒息寸前」 ひどすぎる!プロ野球”最悪助っ人”が起こした問題行動

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“紳士の球団”の非紳士

「やたらにロッカールームの器物を破損しないこと」「監督やコーチの方針を批判しないこと」「ベンチで大声をあげたり騒いだりしないこと」など前代未聞の10ヵ条の“就業規則”を突きつけられたのが、巨人のクライド・ライトだ。

 メジャー通算100勝左腕は、1年目の76年に8勝、翌77年に11勝を挙げ、連覇に貢献したが、目に余る問題児ぶりは、デビュー登板となった76年5月29日の大洋戦でも発揮された。

 同点の5回、2人の走者を出した直後、長嶋茂雄監督から交代を告げられたライトは、「アメリカの監督なら、こんな仕打ちは絶対にしない」と激高。ボールをスタンドに投げ込んだあと、ロッカールームで大暴れした挙句、着ていたユニホームをビリビリに引き裂くと、「アメリカに帰る」と駄々をこねた。

 その後も、監督室の窓にコーラ瓶を投げつけたり、降板を命じられた直後、通訳の首を窒息寸前まで絞めたりするなど、ご乱行三昧。本名をもじって“クレージー・ライト”と呼ばれるようになった。

 そして、78年7月10日のヤクルト戦で3回途中KOされた直後、ボールを投手コーチに投げつけ、取材のカメラマンのフィルムを抜き取るなど、就業規則違反“大連発”の末、謹慎処分を受けると、同16日に突然引退を発表し、日本を去った。

“紳士の球団”には、ほかにも審判に“殺人ボール”を投げつけたバルビーノ・ガルベス、打席を何度も外された腹いせに打者の頭を狙って投げたダレル・メイら、“非紳士的”な助っ人が目立つのも、皮肉なめぐり合わせだ。

グラブの中にヤスリや剃刀

 99年に最優秀救援投手のタイトルを獲得するなど、守護神として活躍する一方で、不正投球疑惑や過激なパフォーマンスで問題になったのが、ロッテのブライアン・ウォーレンだ。

 2000年6月27日の西武戦、ウォーレンが打者を三振に打ち取った直後、攻守交代でボールを受け取った西武のコーチが表面に直径約2センチのヤスリで削ったような傷を発見。これを見た東尾修監督が「不正投球の疑惑がある」と抗議したのが騒動のきっかけだった。

 結局、不正の有無は確認できなかったが、ボールの傷は明らかに人為的と思えるもの。前年6月にも近鉄が「ウォーレンがヤスリでボールに傷をつけている」と訴え、1ヵ月前にもダイエーが「(ウォーレンが)帽子や手にロジンを付け過ぎている」と審判団に抗議していたことから、パ・リーグ事務局も「ウォーレンの行動には疑わしい部分が残る」と“灰色見解”を示した。

 これに対し、ウォーレンは同29日の西武戦の試合前、グラブの中にヤスリや剃刀などを隠してグラウンド入り。「不正?ノーノー」と自ら騒動を茶化すような言動をとる。

 さらにこの日の試合で、12セーブ目を挙げたウォーレンは直後、西武ベンチに向かって中指を突き立てる“ファックサイン”で挑発したため、連盟から「今度あのようなことがあれば、二度とマウンドに上がれないようにする」と教育的指導を受ける羽目になった。

 その後、騒動の影響で集中力をなくしたのか、リリーフ失敗も目につくようになったウォーレンは16セーブに終わり、同年限りで退団。“疑惑”も闇の中に消えた。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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