“育成契約”から這い上がれ! 今年期待される育成選手の実名【パ・リーグ編】

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 1月も下旬に入り、キャンプインが近づいてきたことで各球団の補強もひと段落という印象を受ける。フリーエージェント(FA)での移籍は又吉克樹(中日→ソフトバンク)だけで、主な新戦力は外国人選手とルーキーという球団が大半だが、シーズン開幕に向けて“隠れた戦力補強”となる可能性を秘めているのが、育成契約の選手たちだ。昨年はキャンプイン後、近藤弘樹(ヤクルト)、コルニエル(広島)、小野寺暖(阪神)などが支配下登録され、チームにとって大きな戦力となった。今年もそんな現在は育成契約ながら、支配下登録、そして一軍となる戦力がいるのか、探ってみたい。今回はパ・リーグの6球団だ。【西尾典文/野球ライター】

イースタンリーグで最多勝

 昨年25年ぶりのリーグ優勝を果たしたオリックスでは、故障からの復活を目指す近藤大亮の名前が真っ先に上がる。プロ入り2年目の2017年からセットアッパーとして3年連続で50試合に登板し、通算56ホールドをマーク。躍動感が溢れるフォームから投げ込む150キロ台のストレートとフォーク、カットボールの速い変化球で押すピッチングは迫力十分だ。

 一昨年9月にトミー・ジョン手術を受けて、昨年から育成契約に切り替わったが、順調なリハビリを続けており、先日も自主トレで力強いボールを投げ込む姿も報じられた。故障明けということを考えると、飛ばし過ぎるのは危険だが、チームはリリーフ陣に課題を抱えており、近藤の状態が上がってくれば、一気にセットアッパー定着という可能性もありそうだ。

 ロッテはオフにイースタンリーグで最多勝に輝いた森遼大朗が支配下登録された。投手でもう1人注目したいのが、2年目の小沼健太だ。ルーキーイヤーの昨年は開幕から二軍で抑えを任せられると、18セーブをマークしてイースタンリーグのセーブ王に輝いたのだ。190cm近い長身から投げ下ろすストレートは抜群の角度があり、決め球のフォークのブレーキも申し分ない。

 独立リーグ時代は体がかなり細かったが、体作りが着実に進んだことでフォームもボールも安定した印象を受ける。昨年のようなピッチングを今年も続けることができれば、早期の支配下登録も期待できるだろう。

ハワイ大学卒の異色の経歴

 楽天では、今年から登録名を変更したマーキ(山崎真彰)が面白い。高校卒業後に渡米し、ハワイ大学を経て、19年育成3位でプロ入りした異色の経歴を持つ大型内野手だ。

 1年目は右肩の故障で二軍でも公式戦の出場はなかったが、2年目の昨年は開幕からヒットを量産。5月には4割を超える高打率を残して、イースタンリーグの月間MVPにも輝いた。

 重心の低い構えが特徴的だが、無駄なバットの動きがなく、ミート力の高いバッティングは職人的な雰囲気が感じられる。楽天の内野陣は実績のある選手が多く、そこに割って入るのは簡単ではないが、長所を上手く伸ばしていけば、チームの先輩である、銀次のような打者になる可能性を秘めた選手である。

 育成選手からの戦力化という意味では、12球団トップの実績を誇るソフトバンク。しかし、昨年から継続して育成契約となった選手を見ると、三軍でそれなりの成績を残していても、二軍では苦しんでいるケースが多く、もう少し時間がかかりそうに見える。

 そんな中で一軍の戦力となる可能性を秘めた選手が、今年NPB復帰を果たした藤井皓哉だ。一昨年広島を自由契約となり、昨年は四国アイランドリーグの高知でプレー。ソフトバンク三軍との交流戦ではノーヒット・ノーランを達成するなど、前期と後期合わせて11勝3敗、防御率1.12と圧倒的な成績を残した。

 広島時代より、力みなく速いボールを投げられるようになり、変化球の制球が安定した。一年を通じて安定した投球ができたことも、大きな自信となったはずだ。若手の有望株は多いが、故障者も目立つだけに、昨年の状態を維持できれば、支配下登録も十分狙えるだろう。

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