岸田首相はコロナ患者が爆発的に増えても「2類」から「5類」に引き下げられない根拠

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“民意”に配慮

 一方の岸田首相は、18歳以下を対象とした10万円給付問題で、5万円分をクーポンとする方針が不評だと把握すると、すぐに止めてしまった。

「5類相当への引き下げ問題を有権者がどう受け止めているか。Twitterを見ると賛否両論の百家争鳴といった状態です。しかし議論には、コロナ問題に関心の高い人しか参加していません。大半の有権者は5類と2類の問題にも無関心で、むしろ自宅療養に対しては『療養ではなく放置』と不安を訴えるツイートも相当な量にのぼっています」(前出の記者)

 引き下げ賛成派と反対派、そして圧倒的な無関心層という状況は、まさに岸田内閣の支持率を象徴しているのかもしれない。

「このまま2類を維持したほうが、『コロナ対策を手厚く真剣にやっています』というイメージは作りやすいでしょう。『経済より対策』と“ゼロコロナ”を指向する有権者も決して少なくありません」(同・記者)

安全運転がベスト!?

 岸田内閣には“成功体験”があることも大きいという。昨年11月に外国人の新規入国禁止を表明したが、これが内閣支持率のアップに寄与したとみられている。

「かなりの有権者が、コロナ禍における“安全運転”を評価しています。おまけに5類相当への引き下げを検討してしまうと、“アベ政治”の復活だと勘ぐられる不安もあるでしょう。せっかく“アベ政治”の真逆を行って支持率を伸ばしたのに、ぶち壊しになってしまうかもしれません」(同・記者)

 こんな現状だと、どうも5類相当への引き下げは当分先のようだ。

「岸田首相が引き下げを決断することは、今のところないでしょう。経済や医療の現場で深刻な状況になれば、方針を転換するのではないかという可能性までは否定しませんが、『5類相当はあり得ない』というのが首相の本心だと思われます」(前出の関係者)

註1:第二百八回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説(首相官邸ホームページ)

註2:[語る]新年展望(1)岸田氏 人事思い通りに 元首相 安倍晋三氏67(読売新聞:22年1月3日朝刊)

註3:「負の遺産」清算、懸案先送り 内閣支持率が異例の上昇―時事世論調査(時事通信:22年1月15日7時6分配信)

註4:岸田内閣、感染拡大でも支持率上昇…菅内閣と対照的も盤石とは言えず(読売新聞:22年1月17日8時47分配信)

デイリー新潮編集部

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