岸田首相はコロナ患者が爆発的に増えても「2類」から「5類」に引き下げられない根拠
菅政権でストップ
この発言を受け、同日、東京都の小池百合子知事(69)は、5類への引き下げを検討するよう国に求めた。
小池知事が岸田首相に異議を申し立てたことになる。もっとも、以前に政府が引き下げに動いたことは、意外にも知られていないようだ。
安倍晋三氏(67)が首相だった2020年8月、2類相当を見直す議論が行われると相次いで報道された。
◆コロナ「2類相当」見直しへ 軽症者の病床減らし負担軽減(産経新聞:20年8月26日朝刊)
◆政府、運用見直し検討 コロナ原則入院「保健所・病院の負担増大」 経済活発化、狙いも 指定感染症(朝日新聞:20年8月27日朝刊)
「ところが、この報道から1カ月も経たない9月16日、安倍首相は退陣してしまいます。官房長官だった菅義偉氏(73)が後継首相になると、ワクチン接種が最優先課題となり、引き下げの問題は脇に追いやられてしまったのです」(同・記者)
“ボトムアップ”が理由!?
岸田政権が21年10月4日に発足した後も、引き下げの問題が検討された形跡はなかった。そこで安倍元首相が動き出す。
「読売新聞のインタビューに応じ、1月1日と3日の2回に分けて記事が掲載されました。その中で《新型コロナの法律上の位置付けを変更してはどうか》と発言したのです。《薬やワクチンで重症化を防げるならば、新型コロナを季節性インフルエンザと同じ「5類」として扱う手はあります》と呼びかけたのですが、結果はご覧の通りです(註2)」(同・記者)
岸田首相が掲げる「聞く力」どころか「馬耳東風」という印象だが、これには内閣の“高支持率”が背景にあるようだ。
時事通信が14日に発表した内閣支持率は51・7%、読売新聞と日本テレビ系列各局が16日に発表したものでは66%と、菅内閣時代の低支持率を一気に挽回した。
時事通信は自社の調査を《目立った実績もない中で支持率が上向くのは異例》と報じ(註3)、読売も《菅内閣と対照的も盤石とは言えず》と見出しに打った(註4)。なぜ岸田内閣の支持率は上昇したのか、永田町関係者が言う。
「いわゆる“アベ政治”の真逆を行っているからでしょう。安倍さんも菅さんもトップダウンを重視し、有権者の声をあまり聞かないきらいがありました。例えば安倍さんは、最初の緊急事態宣言を発令する前に、全国の小中高校に臨時休校を要請しました。異論も多かったものの、政治的判断で変更することはありませんでした」
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