“育成契約”から這い上がれ! 今年期待される育成選手の実名【セ・リーグ編】
1月も下旬に入り、キャンプインが近づいてきたことで各球団の補強もひと段落という印象を受ける。フリーエージェント(FA)での移籍は又吉克樹(中日→ソフトバンク)だけで、主な新戦力は外国人選手とルーキーという球団が大半だが、シーズン開幕に向けて“隠れた戦力補強”となる可能性を秘めているのが、育成契約の選手たちだ。昨年はキャンプイン後、近藤弘樹(ヤクルト)、コルニエル(広島)、小野寺暖(阪神)などが支配下登録され、チームにとって大きな戦力となった。今年もそんな現在は育成契約ながら、支配下登録、そして一軍となる戦力がいるのか、探ってみたい。今回はセ・リーグの6球団だ。【西尾典文/野球ライター】
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シュアな打撃とスピード
昨年日本一に輝いたヤクルトで面白いのが、ルーキーの岩田幸宏(2021年育成1位)だ。高校卒業後に社会人のミキハウスに4年間在籍し、BCリーグの信濃を経てNPB入りを果たした。体は大きくないもののシュアな打撃とスピードは高レベルで、信濃では2年連続で3割5分以上の高打率と20盗塁以上をマークした。
昨年9月に行われたBCリーグ選抜と巨人三軍の交流戦では、3打数3安打2盗塁と見事な成績を残している、チームの外野は、ベテラン・青木宣親の後継者が必要なだけに、持ち味をアピールすれば、早い段階での支配下登録も狙えそうだ。
阪神では、故障からの復活を目指す才木浩人を推したい。高校卒ながら、プロ入り2年目の18年には6勝をマーク。将来のエースとして期待されたが、翌年に肘を故障。20年にトミー・ジョン手術を受けてオフには育成契約となった。
昨年はリハビリに費やしたが、秋季練習ではシート打撃に登板するまでに回復。ストレートのスピードは、既に故障前と変わらない数字もマークしたと報じられている。故障明けだけに焦りは禁物で、完全復活は来年となりそうだが、抑えのスアレスが抜けたことで、本格派右腕の需要は高いだけに、早期の支配下復活も十分にありそうだ。
テンポの良さと制球力が特徴
セ・リーグ最多となる41人の育成選手を抱える巨人では、19年のドラフト1位でトミー・ジョン手術からの再起を目指す堀田賢慎に対する期待が大きい。その一方で、故障からの復活を目指す選手で忘れてはならないのが谷岡竜平だ。
プロ入り2年目の18年には25試合に登板して2勝2ホールドをマークしたが、翌年に右肩の手術を受けて、オフに育成契約へ移行。20年のシーズン後半に実戦復帰を果たし、昨年は二軍で38試合に登板して防御率1.30と見事な成績を残している。
テンポの良さと制球力は社会人時代からの特長で、プロ入り後にストレートの勢いも着実にアップしている。昨年の状態を維持できれば、一軍の戦力として期待ができそうだ。
広島では、木下元秀が面白い。敦賀気比では2年連続で夏の甲子園に出場し、3年夏には3試合で12打数7安打6打点をマーク。プロ入り1年目の20年は打率1割台と苦しんだものの、二軍でチーム2位となる7本塁打を放っている。
昨年はホームランこそ減ったが打率は大きく向上し、チームトップとなる打席数を記録した。粗削りだが、全身を使ったフルスイングは迫力があり、高校時代は投手だっただけに肩の強さを備えている。育成選手としては、今年が節目となる3年目であり、昨年のドラフトでは同じ敦賀気比から前川誠太(育成2位)が入団してきたことも奮起する材料としたいところだ。
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