朝の情報番組戦争 「スッキリ」「めざまし8」の明暗 加藤浩次はいよいよピンチに

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

後ろ盾の存在

 その上、今の加藤には局側に対し、自分の意見を代弁してくれる芸能プロダクションの後ろ盾がない。2019年10月に吉本を離れた、現在は個人事務所「82STYLE」に所属する身。独立時は吉本とエージェント契約を結んだものの、それは昨年3月末に解消された。吉本側の意向だったとされている。

 加藤と吉本には因縁があるのは知られている通り。2019年6月に吉本内で闇営業問題が勃発した際、加藤は同7月の「スッキリ」内で吉本の体質を批判した。その上で「今の社長、会長体制が続くのならオレは吉本興業を辞める」と宣言。いわゆる芸能界版「加藤の乱」を起こした。

 その後、闇営業騒動は宮迫博之(51)らが吉本から事実上追放される形で終結。大崎洋会長(68)と岡本昭彦社長(55)は加藤以外からも批判されたものの、無傷だった。自分たちの面子を公然と潰した形の加藤を、大崎会長、岡本社長がどう思っているか、である。

 加藤は現在、「スッキリ」を含め、在京民放キー局で3本のレギュラーを持つ。半面、約20年にわたってMCを担当した「スーパーサッカー」(TBS)と「この差って何ですか?」(同)が昨年3月、ともに終了してしまった。

 終了した2番組は目立って視聴率が低下していた訳ではない。それなのに、なぜか加藤と吉本のエージェント契約の解消と同時期に終わった。両者の因縁との関係を勘繰りたくもなる。

 吉本は民放各局が大株主になっている特殊な芸能プロだ。ほかの芸能プロより双方は緊密な関係にある。それもあって、加藤が自分の立場を守るためには視聴率を浮上させるしか道はない。

 一方、谷原は情報番組に慣れたらしく、かなり踏み込んだ意見を口にするようになった。ゲストに招いた新型コロナや事件の専門家にも自分自身が抱いた疑問をぶつけているように見える。沙也加さんの報道終結を約束する言葉も自分で考えたと伝えられている。

 羽鳥のMCは相変わらず冴えている。穴がない、また、昨年3月末で青木理氏(56)らベテランのコメンテーターが勇退したことで、番組全体が若返ったように映る。

 それでも硬いイメージがあるらしく、若い視聴者には受け入れられにくいのが難点。スポンサーが最も歓迎するF1層(女性20~34歳)の個人視聴率は不思議なくらい低く、「めざまし8」と「スッキリ」の10分の1以下の日もある。

 これではCM収入が頭打ち。若い視聴者を呼び込むことが今後の大きな課題だ。

 真冬でも朝の情報番組戦争は熱い。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。