Nスペ「証言ドキュメント 永田町・権力の興亡」 仕掛け人は安倍元首相にインタビューしていた女性記者
菅退陣から半年も経たない中で
16日放送のNHKスペシャル「証言ドキュメント 永田町・権力の興亡」は、昨年の菅退陣の背後でうごめいた権力者が登場し、あの時どんなふうに考え、どのように振る舞ったかを語る設定だった。政局後にそれなりに時間が経過してことの次第を振り返るならまだしも、退陣から半年も経たない中での生々しい番組内容。その仕掛け人に注目が集まっている。
【写真】安倍元首相に最も食い込んだ女性記者は岸田首相とも近い関係だという
番組の惹句にはこうある。
《「証言ドキュメント 永田町・権力の興亡 コロナ禍の首相交代劇」コロナ禍で日本社会が大きな岐路に立った2021年。総理大臣の座は、菅義偉から岸田文雄へと移行した。ワクチン接種をコロナ対策の切り札として推し進めながらも支持率が落ち込み、志半ばで退任した菅。その舞台裏で何があったのか? そして前回の自民党総裁選挙で大敗した岸田は、なぜ総裁の座を手にすることができたのか? キーパーソンによる証言からコロナ禍の政権移行の内幕に迫り、日本政治の行方を展望する》
主だった登場人物を並べると、自民党からは岸田首相、麻生太郎前財務相(元首相)、安倍晋三元首相、菅義偉前首相、甘利明前幹事長、二階俊博元幹事長、茂木敏充幹事長、河野太郎前ワクチン担当相、石破茂元幹事長、立憲民主党からは泉健太代表、辻元清美前副代表といった面々である。
出演の動機は?
NHKではない社の政治部デスクによる「視聴記」を聞くと、
「錚々たるメンバーで、よく集めたなぁという感想を持ちました。実力者が部屋に入ってくるのを捉えるカメラアングルや証言者への照明はセンスよく、練られた政治ドキュメントだと思いました。これまでにも同趣向のドキュメントはありましたが、今回は菅さんの退陣という政局から1年どころか半年も経っていないわけで、そんな中で関係者が揃ってカメラの前で内幕を明かすというのはあまり聞いたことがないですね」
ある意味で、政界の常識を破る出演だったとも言える。取材に応じた実力者たちにはどういう動機があったのか?
「彼らにとってメリットがあるか否か、しかありませんね。首相経験者の麻生、安倍、菅の3氏は影響力を保持してキングメーカー側であり続けたいし、茂木氏は次の首相・総裁候補として名をさらに売っておきたいし、二階氏にも終わった人扱いされるのはサラサラごめんだという考えがあったはずです」
もっとも、これまで流布してきた話や情報を覆す新しいストーリーが展開されたわけではなかったという。
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