元公安警察官は見た ロシアスパイの奇妙な習性と、次の密会場所の割り出し方とは?

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 日本の公安警察は、アメリカのCIAやFBIのように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、公安捜査員にとっての必需品について聞いた。

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 公安捜査員には、ターゲットを尾行したり監視したりする際に欠かせない“道具”がある。

「007の映画に出てくるような派手なものはありませんが、いくつか必需品はあります」

 と語るのは、勝丸氏。

「主なものとしては、『単眼鏡』や超小型の『カメラ』ですね。単眼鏡は、離れたところにいるターゲットを視認する時に使用します。双眼鏡と違い、両手が塞がらないので便利です」

 カメラは、様々な種類がある。

007シリーズのQ

「メガネや靴、ベルトバックルに仕込むタイプなどもあります。ただ、こういうのを装着して電車に乗って一般の人に見つかると、盗撮犯に間違われる危険があります。ですから、どうしてもという時以外は使用しません」

 警視庁の公安部には、007シリーズに登場するQ(Quartermaster需品係将校)のようなスタッフがいるという。

「ペン型のカメラや高性能収音マイクはアマゾンや楽天などで売っています。それを購入して改良する捜査員がいるんです。大体、手の器用な人か大学が理系だった人ですね。それとは別に警視庁の公安総務課や警察庁の警備局の中には、警察官ではなく小道具専門の技官がいます。彼らに教えを乞うこともありますが、『何に使うのか』『結果はどうだった』と色々聞かれて面倒くさいので、できるだけ自分たちで作るようにしています」

 ターゲットを監視する際、最も活躍するのはカメラと高性能収音マイクだという。

「高性能収音マイクを使っても、雑音ですべて聞き取れるとは限りません。喫茶店でターゲトが会話中、給仕が飲み物を持ってきたりすると、給仕の声で会話は聞こえなくなります。周りの客の会話も録音されますし、会話の内容を正確に把握するのはなかなか難しいのです」

 そんな時には、カメラが活躍するという。

「カメラでは、動画を撮影します。静止画ではなく動画を撮る理由は、会話の内容を読唇術で把握したりするためです。ターゲットに隠れて捜査する秘匿捜査では、極力動画で記録するようにしています」

 勝丸氏が所属した公安外事1課には、声が聞こえなくても唇の動きで会話が読める読唇術ができる捜査員が数名いたという。

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