体調不良に効果的な「丸ごと野菜スープ」「発酵塩豆腐」とは 食改善アドバイザーが推奨
うつの人の食生活の特徴は
考えてみれば、「野菜スープ」が体にいいのは、人間が消化できない野菜の細胞壁が煮ることで壊れ、中から抗酸化物質が外へ出てくるからだ。実は鍋料理も汁ごと食べれば同じ。炊き込みご飯も野菜から出た抗酸化物質がコメに染み込むので、かたちは違うが「野菜スープ」と同じだ。基本は、野菜を煮て抗酸化物質を外に出して食べることだから、好きな方法を選べばいいのだが、うつ状態になると手間のかかる料理はできなくなるので、炊き込みご飯をすすめているという。
「ある団地で、うつの人が何を食べているか見せてもらったのですが、ポテトチップスなどスナック菓子が驚くほど多い。ラーメン好きも多くて、とくに背脂が好きです。野菜はほとんど食べません。病気になる前のことを家族に聞くと、歯ぎしり、いびき、寝返りがひどいと言います。それと臭いがするんです。消臭剤が売れるのは、加齢臭を含めて臭う人が多いのでしょうね。悪臭は、毛穴から出た老廃物が原因です。若い人で体臭がひどいのは、食べ物に問題があると考えたほうがいいと思います。野菜を食べていないか、食べてもカット野菜を生で食べているケースが多いですね」
ちなみに、成田さんの体験では、日常的に生野菜を食べるのはカリフォルニアと日本ぐらいで、どこの国でも火を入れるという。
でも、スナック菓子を常食としている人にいきなり「やめろ!」と言っても無理ではないか。すると成田さんは、10センチほどのチョコバーのようなものを取り出した。1本いただいたが、香ばしくて十分に満腹感がある。
「炒った雑穀に小麦粉とベーキングパウダーを混ぜ、水の代わりに豆乳を入れて練ります。少し柔らかくするためにお砂糖を少々入れてオーブンレンジで焼くだけです。もし家族がいたらダメと否定する前に、こういう健康的なお菓子を出してあげるとスナック菓子をやめるきっかけになります。同様の市販品があればそれでも構いません」
便秘に「塩納豆」
日本人の7~8人に1人が便秘症の自覚症状があり、日本は「便秘大国」と呼ばれているそうである。最近は高齢者に多く、70歳以上の、それも男女共に便秘が増えているという。そこで便秘に効果的な食べ方を尋ねた。
「腸のぜん動運動が鈍くなって排便できない便秘、腸液が少なくて便を外に出せない便秘、といったようにいろいろで、万人に効くものはないのですが」と述べたうえで、「やっぱり野菜スープがいいですね」と成田さんは言う。それに加えて「不溶性食物繊維が多いゴボウより、水溶性食物繊維が豊富な長イモがおすすめです。ぬめぬめしたのがいいんです。あとは塩納豆かな」。
「塩納豆」とは初めて耳にする食材だ。
作り方は、よく殺菌した容器にひきわり納豆を3パック入れ、塩を小さじ1~2杯と、水200ミリリットルを加えて混ぜる。室温で1日おき、そのあと冷蔵室に保存するだけ。こうしている間に空気中を漂う黄麹菌が付いてうま味が生まれる。食べ頃は3日目から。1週間経ってまだ水が多ければ、昆布やオキアミなどを入れると、水を吸ってくれるうえ、うま味が増してさらに美味しくなるそうだ。ただし、すぐ食べない場合は入れない方がいい。
便秘には食事だけでなく運動も大事だ。健康な人は歩くのもいいが、それが無理な人には、かかとを床に落とす体操「かかと落とし」をすすめている。成田さんが30年前に始めた体操だが、2007年にコロンビア大学の研究で、かかとを刺激すると血糖値の上昇を抑え、カルシウムの流出が防げるとわかったそうだ。
やり方は簡単で、壁や机に手を添えて体を支え、「かかとを2、3センチ上げ下げするだけです。疲れたら膝を曲げて振る。これで体が軽くなります。1分でも10分でもいいんです。便秘解消と体重減少にはてきめんです」。私も、「野菜スープ」だけの時は便秘が完全に解消した感覚はなかったが、ウオーキングを加えてはじめて実感できた。
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