茨城・介護施設の女性看護師「赤間恵美容疑者」 殺人容疑で逮捕直前に犯していた「5000円の牛肉万引き事件」

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同僚に問い詰められ

 地元紙記者が続ける。

「ちょうど赤間容疑者が看護師から介護士に配置換えになる直前の20年5月に、2度目の逮捕容疑となった入所者の鈴木喜作さん(当時84歳)が死亡しているんです。赤間容疑者は死亡時に、鈴木さんのベッドがあった部屋に入っていくのを目撃されており、これが逮捕の決め手の一つとなりました」

 施設側はこの段階で何らかの異変を感じ取って、赤間容疑者を配置換えしたのかもしれない。

「結局、7月には1人目の逮捕容疑となった吉田節次さん(当時76歳)が死亡し、“連続殺人事件”に発展しているわけですが……」(同前)

 20年7月6日の吉田さんの死亡直前、赤間容疑者は吉田さんのベッド周辺で不審な行動をしているのを同僚に問い詰められ、その日のうちに「けやきの舎」を退職している。

 吉田さんはその後、容態が急変し、「けやきの舎」の系列の栃木県内の病院に救急搬送。病院側が死因を不審に思い警察に通報し、司法解剖の結果、体内から大量の空気が見つかった。

 そして、1年半余りたった21年12月8日、赤間容疑者は吉田さんの体につながった点滴用のチューブから、注射器のシリンジを使って体内に空気を入れて殺害したとして逮捕されたのだ。

原田哲也刑事部長以下、執念の捜査

 さらに、当初から複数の不審死が報じられたこの事件は、2021年の12月29日に急展開を見せた。5月に死亡した鈴木さんについても、赤間容疑者が同様の手口で殺害したとして再逮捕されることとなったのだ。

 だが、死亡時から不審死が疑われた吉田さんと異なり、当初は病死扱いだった鈴木さんの捜査は困難を極めたという。

「鈴木さんは亡くなった際に司法解剖がされておらず、県警は搬送先の病院が実施したCT検査の画像を解析し、吉田さんと同じように体内に空気が注入されていたことを突き止めたんです。県警の原田哲也刑事部長は、昨年も茨城県境町の一家4人殺傷事件で、少年事件の前科のある容疑者を逮捕するなど実績十分の凄腕。今回も当初から複数の不審死の可能性を疑い、粘り強い捜査を展開した。原田部長以下、捜査員の執念を感じましたね」(全国紙記者)

 他方、今回の逮捕劇は、事件が弾けたタイミングも異例だった。

 逮捕状や勾留を請求する裁判所が休みとなる年末年始には、捜査当局は突発以外の事件には着手しないのが通例。今回、1年以上も前に発覚した事件が異例の「年またぎ捜査」となった背景には、県警の執念に加え、やむを得ない事情もあったという。

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