東大前刺傷事件の「名古屋の17歳高2少年」の量刑は? 「18・19歳かそれ以下か」「改正少年法」施行直前の駆け込み犯行の指摘も
「特定少年」の問題から外れる
ちなみに、事件当時に少年であった者が殺人容疑で逮捕・起訴された場合はどんな量刑となっているか。
2012年5月~7月、同級生に劇物である硫酸タリウムを飲ませて殺害しようとしたことに加え、2014年12月には知人女性を殺害するなどしたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた名古屋大の元女子学生は無期懲役が確定している。
知人女性を自宅に誘い込み、頭をおので殴ってマフラーで首を絞めて殺害し、そのまま遺体を放置。1か月半後に殺人罪で逮捕され、その捜査の過程で過去の硫酸タリウムなどの事件がめくれて行ったのだった。元女子大生は2012年の犯行当時16歳で、14年当時は19歳だった。
他方、2015年2月に発生した「川崎市中1男子生徒殺害事件」では、主犯格の18歳の少年が殺人容疑で逮捕・起訴され、その後、懲役9年以上13年以下の不定期刑が確定している。
先のデスクは、今回の少年対して、「現在の情報だけで判断すれば『特定少年』の問題から外れ、量刑相場通り懲役5年程度ではないか」と言う。どういうことなのか、もう少し具体的に説明してもらおう。
改正少年法が施行されて
「今年の4月から成人年齢が18歳に引き下げられることになり、これと同時に少年法も改正され、施行されます。この改正少年法では、新たに成人となる18歳と19歳の者を『特定少年』として、17歳以下とは分けて扱うこととしています」(同)
言うまでもないが、少年法は少年の健全な育成を図るための法律で、刑罰を与えることよりも保護や立ち直りを重視したものだ。
少年事件では、警察や検察の捜査を受けた後に家庭裁判所に送られ、生い立ちや家庭環境などを調査したうえで処分が決まる。その審判は裁判官によって非公開で行われ、検察官送致(逆送)、少年院送致、保護観察などがある。
検察官送致(逆送)は保護処分にあたる少年院送致、保護観察ではなく、懲役、罰金などの刑罰を科すべきと家庭裁判所が判断した場合、事件を検察官に送ることを指す。そうやって逆送された場合、検察官によって刑事裁判所に起訴され、刑事裁判で有罪となれば刑罰が科される。20歳以上の大人が通るルートとほぼ同じだ。
「少年法は原則的に逆送すべき対象として、殺人や傷害致死など、故意に人を死亡させた事件を定めていました。今回の改正では、『特定少年』に対しては殺人や傷害致死などに加えて、放火、強制性交、強盗、組織的犯罪などの罪が対象に含まれることになりました」(同)
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