渋谷「焼肉屋」立てこもり事件、新幹線殺傷事件…「刑務所に入りたい」という動機の凶悪犯罪が多発している理由

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 1月8日、東京都渋谷区の焼肉店で起きた人質立てこもり事件で、警視庁は住所不定で無職の荒木秋冬(あきと)容疑者(28)を監禁容疑の現行犯で逮捕した。

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 TBSは1月10日、「【独自】『刑務所にいけば飯がタダ』知人の路上生活者に漏らした容疑者の“本音” 焼き肉店立てこもり事件」の記事をネットなどで配信した。

 タイトルに【独自】と書かれているのは、スクープ記事だと伝えるためだ。TBSは容疑者を知るホームレスに取材し、事件前に“本音”を聞いていたと報じた。

《「段ボール集めに行くときとか、さすがに何も言わないで段ボールとりにいくのはやめましょうよって(自分が言ったら)、(荒木容疑者が)『いいよいいよ、捕まれば捕まったで』『悪いことをすれば刑務所にいけば飯もタダだし、寝るところもタダだし』って」》

 担当記者が言う。

「全国紙もテレビ局も、『生きる意味を見出せず、死刑になりたかった』という容疑者の供述を報じ、昨年10月に起きた京王線刺傷事件を参考にした可能性を伝えました。とはいえ、今回の事件ではケガ人すら出ていません。TBSが報じた『刑務所に入れば飯もタダ』という発言のほうが、動機として説得力があると思った人が大半ではないでしょうか」

土浦連続通り魔事件

 ちなみに、京王線刺傷事件で逮捕された服部恭太容疑者(25)も、

《「仕事を失って嫌になった。友人関係がうまくいかないので、死にたいと思った。2人以上殺して死刑になりたかった。人をたくさん殺すには、東京がいいと思った」》

という供述内容が報道されている(註1)

「死刑願望という動機が理不尽で身勝手であることは論を俟ちません。こうした動機から引き起こされた凶悪事件として、2008年の土浦連続通り魔事件をご記憶の方も多いでしょう。金川真大・元死刑囚(1983〜2013)は『死刑になりたかった』という動機から9人を殺傷しました」(前出の記者)

 毎日新聞は2008年9月、「茨城・土浦の8人殺傷:金川容疑者を起訴 供述『派手に殺し死刑に』」の記事を掲載した(註:被害者の人数は原文ママ)。文中で報じられた供述内容をご紹介しよう。

《「派手に人を殺して死刑になりたかった。つまらない現実世界から消え、自分がもっと高く評価される幻想の世界に行きたかった」》

 2009年12月、一審判決で死刑が言い渡されるも、弁護人が即日控訴。その後、控訴が取り下げられ、10年1月に死刑判決が確定。死刑は13年2月に執行された。金川元死刑囚は29歳だった。

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