岩嵜翔は中日で復活なるか…“人的補償”の移籍先で最も飛躍した3選手

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同じリリーフ投手を選択

 昨年12月27日、中日はフリーエージェント(以下FA)で移籍した又吉克樹の人的補償で、ソフトバンクから岩嵜翔を獲得したことを発表した。ソフトバンクは若手の有望株が多く、また中日は打線の弱さから野手を獲得するのではという声もあったが、結果としては、又吉の穴を埋めるために同じリリーフ投手を選択した格好となった。【野球ライター/西尾典文】

 FA制度が始まった当初は金銭での補償が大半だったが、近年は人的補償を求めるケースは増えており、岩嵜の移籍で32人目となる。FA権を行使した選手を獲得した球団は28人を“プロテクト”できるため、当然チームの中心を担う選手が移籍することはないが、過去の例を見ると、人的補償をきっかけに飛躍を遂げた選手は決して少なくはない。

専門学校所属では異例のドラフト3位

 中でも最高の成功例と言えるのが、2013年オフに大竹寛の人的補償として巨人から広島に移籍した一岡竜司だ。高校時代は無名の選手だったが、卒業後に進んだ沖データコンピュータ教育学院で才能が開花し、11年の都市対抗でJR九州の補強選手として出場するなど活躍した。

 専門学校所属の選手としては異例のドラフト3位という高い順位でプロ入りを果たしている。巨人での2年間は一軍登板13試合と目立った成績を残していないが、広島では移籍1年目から中継ぎの一角に定着。夏場に右肩を痛めて離脱したものの、31試合に登板して2勝、2セーブ、16ホールド、防御率0.58という見事な成績を残した。

 その後もテイクバックの小さい独特のフォームから投げ込む140キロ台後半のストレートと落差のあるフォークを武器に中継ぎ陣の一角として活躍し、16年からのチーム三連覇にも大きく貢献している。ちなみに、一岡の広島移籍後の成績(266試合16勝14敗7セーブ83ホールド)を、大竹の巨人移籍後の成績(130試合28勝23敗0セーブ25ホールド)と比較すると、総合的には一岡がわずかに上回っており、かけたコストを考えれば、広島の方がプラスだったことは明らかである。

 巨人は一岡以外にも14年オフに奥村展征(相川亮二の人的補償)、16年オフに平良拳太郎(山口俊の人的補償)と若手の有望株が相次いで、ヤクルトとDeNAにそれぞれ移籍。同じ失敗を恐れ、それ以降は実績のある選手でも成績が落ちている選手をプロテクトから外すようになっている。この流れを作った大きな要因が一岡の活躍だったことは間違いない。

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