浜口京子はなぜ今ブレークした? 「真面目さ」「不慣れさ」が評価される時代に
予定調和を崩すアスリートならではの「真面目さ」 人柄芸人ブームの流れ
京子さんの度を超えた天然ぶりは、度を超えた真面目さから引き出されるのだろう。目の前のことに一生懸命で、先のことを考えていないのがよくわかる。相手の反応をいちいち真に受け、考え込んでリアクションするからテンポがズレる。居心地悪そうな共演者や、イライラするという視聴者も少なくない。でも良くも悪くもバラエティーのお約束に乗らない「不慣れさ」が、松ちゃんや有吉さんら、予定調和を嫌う大物芸人に刺さったのだといえる。
アスリート、特に女性選手のタレント転向は賛否を呼ぶものだ。容姿や交友関係が華やかになると、「勘違いするな」「女を出すな」と批判の声が上がる。競技一本で頑張ってきたはずの、無垢で清廉なイメージを裏切らないでくれ、という願望の表れだろう。引退してもちょっとダサいくらいの外見、たどたどしいくらいの受け答えが好まれる。
京子さんは、44歳の今でも不器用な印象だ。面白いことを言おうとするより、相手に敬語を使うことを忘れず、台本通りに真面目にやることを優先しているのがうかがえる。
最近は阿佐ヶ谷姉妹やもう中学生さん、なかやまきんに君など、「性格が良い」芸人さんが波に乗っている。もちろん面白さも大事だが、真面目に仕事に取り組んでいる姿勢や、スタッフや共演者への優しさが見えるかが問われる時代だ。京子さんもその流れに、ぴたりとハマったのではないだろうか。
次ページ:利他の心が見えるストイックな姿勢 競技者としての自意識と乙女心のバランス感覚
[2/3ページ]