重症化率、経口薬の確保数、病床の余裕は? オミクロン株の疑問を専門家が徹底解説
倍々ゲームで増えはじめたオミクロン株。たとえ重症化しにくくても、感染者や濃厚接触者になれば社会活動は制限され、重症化リスクもないわけではない。光は見えつつあるが、いま手を抜いては元も子もない。正しく警戒するためのすべてを、ここに示したい。
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これほど急激な感染者の増加は、専門家を含むほとんどの人にとって、想定外だったようだ。
「週刊新潮」1月13日号では、オミクロン株の蔓延が始まったことを記すうえで、1月3日に東京都の1日当たりの新規感染者数が、3カ月ぶりに100人を超えたと強調した。が、感染者はその後、倍々ゲームで増え、8日には1224人に達した。
同じ8日に沖縄県では1759人の新規感染者を記録。やはり急激に増えた広島県、山口県と一緒に、まん延防止等重点措置が適用されてしまった。事態が進む速さが、デルタ株までと比較にならない。
ちなみに、「まん防」の対象になった3県は、周知のように、米軍基地から感染が広がったと考えられているが、その大本であるアメリカでは、1日当たりの新規感染者数が100万人を超える日も出ている。
7日の時点で、埼玉県ではオミクロン株と疑われるケースが約8割と説明していたが、それから数日を経て、いまでは新型コロナウイルスは、ほぼオミクロン株に置き換わったと考えていいのではないか。
2月上旬に東京で5千人か
では、感染者はどこまで増えるのだろう。名古屋工業大学先端医用物理・情報工学研究センター長、平田晃正教授は、東京都の1日当たりの新規感染者数は「ピークは3月後半の4千人弱」と予測していたが、
「沖縄などから思った以上に早く、オミクロン株が東京にも流入した可能性があります。また年末年始のデータでは、忘年会開催の割合が前年の3倍、新年会も2倍程度だったようで、主にこの2点が考慮されていなかったため、予測にズレが生じたと思う。これらが感染者増にかなり影響していると考えられます。このためピークの時期は、以前の予測より2週間ほど早まって2月上旬、感染者数は少なく見積もっても5千人に達するのではないでしょうか」
こう説明する平田教授は、オミクロン株の感染力をワクチン効果の相違も含めて、デルタ株の2倍程度と見積もっている。感染力がさらに強ければ、感染者数はもっと増えるだろう。
一方で、重症化率や死亡率はデルタ株と比較して低いという情報もあるが、感染が判明すれば、たとえ無症状であっても隔離されて社会活動を制限され、周囲の濃厚接触者にも迷惑が及んでしまう。
だから、病原性の高低にかかわらず、感染しないに越したことはないが、感染してしまった場合、適切な医療は受けられるのか。家族を守るにはどうしたらいいか。行方が見えにくいときほど、敵を知り、敵を取り巻く状況に通じることが、最大の防御につながる。以下にその方途を記したい。
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