「新庄」「立浪」より地味だけど…現役は活躍できずに指導者で花開いた“現役名コーチ列伝”

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42歳という若さで……

 若手の指導者で着実に実績を積み重ねているのが、平石洋介(西武)だ。PL学園では主将として3年夏に横浜高校と延長17回の死闘を演じ、同志社大、トヨタ自動車を経て、楽天球団創設最初のドラフト7位で入団している。

 現役時代は7年間で通算37安打と成績を残せなかったが、引退直後に二軍のコーチに就任。18年からは一軍ヘッド兼打撃コーチとなると、シーズン途中からは監督代行となり、翌年には監督としてチームを3位に押し上げている。

 この年限りで監督を退任して楽天を退団したが、翌年すぐにソフトバンクの一軍打撃兼野手総合コーチに就任し、チームの4年連続日本一にも貢献した。昨シーズン限りで2年間在籍したソフトバンクを離れたが、22年シーズンからは西武の一軍打撃コーチに就任した。

 今年で42歳という若さで、ここまで指導者として次々と声がかかるというのはなかなかあるものではない。西武は昨シーズン42年ぶりの最下位に沈み、野手陣の世代交代が大きな課題となっているが、そんなチームをどう作り替えていくかに注目が集まる。

 監督にはスター性やカリスマ性も求められるが、現場のコーチはそれだけでは結果を残すことができないのは明らかである。近年は現役を引退してから海外や大学などで指導法を学んでから、指導者となるケースも増えているが、選手のパフォーマンス向上のためには良い流れと言えるだろう。今後もチームを縁の下で支える新たな名コーチが誕生することを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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