「慰安婦で私利私欲を満たす厚かましいヤツ」「おばあさんを利用して苦しめるな」 慰安婦像設置から10年、水曜デモ初開催から30年で上がった声
尹美香氏について問われた文大統領は
慰安婦像がソウル・在韓日本大使館前に設置されて10年が経過した。「日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜デモ」、通称「水曜デモ」の初開催から30周年にもあたる。これに合わせ、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「勇気を出して日本軍慰安婦問題を世の中に広め、1525回目の水曜集会に至るまで長期にわたり共にしてくださった全ての方々は苦労が絶えなかったと思う」と感謝の気持ちを伝えたが、現地の目は以前とは比べ物にならないくらい冷たいのだという。現地在住・羽田真代氏がレポートする。
文大統領の「苦労が絶えなかった」という労いの言葉に対し、「(その中にデモを主催してきた)尹美香(ユン・ミヒャン)議員も含まれるのか」と記者から質問が繰り出された。
これに対して質問を受けた担当者は「水曜デモには若い学生からさまざまな各界各層の国民が出席された」とだけ述べ、尹美香氏についての言及を避けた。文大統領が所属する与党「共に民主党」と彼女との現在の関係を考えれば、予想された反応だったが……。
尹美香氏は、日本軍慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連、旧挺対協)の前代表だ。彼女の会計不正問題が浮上した2020年当時、与党に属していたのだが、疑惑を理由に党から除名された。もっとも、彼女は議員を辞職することなく、現在も無所属の国会議員として活動している。
尹美香の家の前でデモをしろ
差し当たって韓国では、今も慰安婦問題がメディアなどでしきりに取り上げられている。
その背景にあるのは、水曜集会が30周年を迎えたこともさることながら、米・ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授が慰安婦に関して「慰安婦が強制徴用されたという主張には証拠がない」と改めて訴えたことが大きい。
ラムザイヤー教授は2020年12月、国際学術誌に慰安婦強制連行と性奴隷の実態を否定する論文を掲載し、「慰安婦=性奴隷」ではないと唱えていた。その主張に「慰安婦=性奴隷」だと信じる一部の韓国民は怒り、激しい抗議活動が展開されていた。教授の意図とは関係なく、論文はこの問題への関心を維持するのに貢献してしまったのである。
教授の新主張もあって注目を集める「30周年を迎えた水曜集会」をめぐっては関連特集をYouTubeに配信する局もあった。ただし、それらはかつてとは異なり、日本のみを責めるコメントばかりではなく、コメント欄にはこんな反応が多く見られた。
「正義連はおばあさんたちをこれ以上苦しめることのないようにしてください…」
「本心は…カネを巻き上げ、巻き上げ、巻き上げ……お前らの飯のためにおばあさんたちを利用することはもう止めろ。お前たちが騒がなくても日本政府がゴミであることは我々国民がよく知っている」
「尹美香の家の前でデモをしろ。慰安婦を利用して私利私欲を満たす厚かましいヤツ」
尹美香氏は背任や横領などの容疑で起訴されて裁判を待つ身だが、慰安婦を利用して私腹を肥やしたと捉える人も少なくないと感じられる。
ただし、残念ながら慰安婦等の歴史認識に関する問題は、以前として韓国にとっては政治利用できるカードとして使われ続けるだろう。
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