紅白“大ゴケ”の原因は若者への過剰な媚び 初めて演歌、歌謡曲の歌手が3割以下に
媚びが凄い
ITメディア記者が言う。
「放送中からSNSには“演歌が少なくて婆ちゃんがかわいそう”という投稿のほか“ウチら世代への媚びが凄い”といった辛辣な声も数多く目につきました」
ヤリ玉に挙げられたのは、39年前のヒット曲「め組のひと」が10代から20代に人気の動画投稿アプリTikTokで多くの支持を集め、その功績により2020年に続き出場を果たした鈴木雅之(65)だった。
「紅白出場の選考ポイントは〈年内の活躍〉〈世論の支持〉〈番組の企画・演出に相応しいか〉の3点ですが、鈴木が該当したのは制作サイドの主観で決まる三つ目だけ。一時(いっとき)、動画が話題だったからといって、これが“世論”に当たるのか」
今回、紅白には追い風が吹いたはずだった。視聴率を争う裏番組の「笑ってはいけない」シリーズ(日テレ系)が休止した他、根強いファンを持つ格闘技イベント「RIZIN」(フジテレビ系)も、コロナ禍で海外の有力選手の招聘が見送られたからだ。
「それがむしろ裏目に出た。魅力的な裏番組がないので、若者たちは贔屓の歌い手の出番が終わるとYouTubeやNetflixなどに流れ、そのままテレビに戻らなかったと見られます」
もっとも、天井までせり上がる大仕掛けや息を飲むようなCGとのコラボなど、年末の風物詩ともいうべき独特のゴージャス感も物足りなかった、と民放のあるプロデューサーが指摘する。
「第1部のトリを務めた松平健(68)は東京五輪の開会式さながらの演出で登場しましたし、第2部でも、椎名林檎(43)が率いるロックバンド『東京事変』の演奏中に大量の紙吹雪がステージを舞い“これぞ紅白”と感銘を受けました。とはいえ、目を引く見どころはこれくらいでしたね」
惜しむらくは会場の変更だったという。
「改修中のNHKホールより観客席が1500ほど多い、東京国際フォーラムに替わったのが痛かった。感染症対策の関係で両隣を空けた観客席は想像以上にガラガラに見えましたし、ステージがやや小さいので、密を避けるため、着飾った出演者が勢揃いする機会も見送られた。その結果、華やかなお祭りムードが失われてしまいました」