新大河「鎌倉殿の13人」 スタート前に抑えておくべき見どころ 北条義時はずるくてダークな男?
権力闘争の場となった「13人の合議制」
だから仲が良かったかというと、まるで逆。それぞれが自分の力を強めることに躍起となり、権謀術数が渦巻いていた。「13人の合議制」の実像は権力闘争の場だったのである。
頼家の側近だった梶原景時は合議制設立の僅か8カ月後に失脚させられた。頼家に重用されていたことから周囲の反感や嫉妬を買った。今のサラリーマン社会でもよくある話だ。
時政の家来によって殺害されたのが比企能員。頼家の長男である一幡の祖父だ。能員は頼家と結託し、時政を倒そうとしたものの、返り討ちに遭う。
両者の争いの発端となったのは頼家の遺産相続問題。これも現代に通じる。頼家が1203年に病に伏した際、時政たちはその家督を一幡と、頼家の弟・千幡(のちの3代将軍・源実朝)に分割して相続させると決めた。これが頼家と能員には気に食わなかった。2人は家督のすべてを当時6歳の一幡に譲ろうとしていたのだ。
ところが、頼家と能員による時政討伐の企ては事前にバレてしまい、逆に能員が殺害された。一幡も殺される。頼家も伊豆国の修善寺に幽閉された後、時政の差し向けた刺客に殺された。時政の敵が全員死んでしまった。頼家は時政の孫である。
どうして頼家と能員の謀議が時政に漏れたかというと、政子が密告したからだ。政子は時政の娘であるものの、頼家の母でもあるので、文字通り骨肉相食む争いだった。「渡る世間は鬼ばかり」どころじゃない。
その後も身内のシビアな対立が続く。3代将軍に実朝を就かせ、自らは執権になって権力を握った時政が、暴走を始めたからだ。
時政は将軍になってから僅か2年の実朝の退位を画策。自分勝手なトップ人事を計画する。これを義時も政子も許さず、親子は激突した――。
小栗は主演こそ初めてであるものの、大河への出演は「八代将軍吉宗」(1995年)から数えて今回で8作目。三谷氏は制作発表の場でこう語っている。
「義時はただ強くて格好いいヒーローではなく、ずるい部分もあって、ダークな男。それを小栗さんにやっていただくのは楽しみ」(三谷氏)
片や小栗はオンライン会見で「回を重ねていくと、倒しちゃいけない人を倒しちゃったんじゃないかな、みたいな感じがある」と話した。どうやら、あの時代の実質的な王は苦悩も見せるらしい。
時政の若き後妻・りく(のちの牧の方)役を演じるのが宮沢りえ(48)。やがて義時、政子と反目し、実朝の退位計画にも深く関与する。
頼朝の異母弟・義経役を菅田将暉(28)、義時の盟友・三浦義村役を山本耕史(45)、頼朝の家臣で義時が慕う上総広常役を佐藤浩市(61)がそれぞれ演じる。
三谷氏は制作発表で「新しい大河ドラマをつくりたい」「最高の大河にしたい」と抱負を語った。さて、その言葉通りになるか。