日本のオジサンは世界一孤独? 早期死亡リスクがアップ…なぜ男性は社会と繋がれないのか

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会社ではフラットなコミュニケーションが取れない

 まずコミュニティーの問題について考えてみます。今の中高年世代の女性には専業主婦も少なくなく、子育てを通じて「ちょっとしたお喋りができる知り合い」というコミュニティーを持っていて、それが老後になっても活きてくる。一方、「24時間戦えますか」を体現してきた同世代の男性は、職場と家庭以外の「第三のコミュニティー」を作ることが難しかった。そのため定年で職場を失うと、「社会」との縁がプッツリと切れてしまうのです。

 次にコミュニケーションの問題です。日本の社会、とりわけ男性社会である企業の中のコミュニケーションはヒエラルキーに基づいています。上の立場の人には敬語を使い、下の立場の人には命令するのが当然。この上意下達のコミュニケーションは、友だちを作るために必要な「フラットなコミュニケーション」とは対照的なものです。

 しかし、企業というヒエラルキーの中でどんどん偉くなっていくと、次第にフラットなコミュニケーションの取り方を忘れてしまい、つい上から目線の話し方をしてマウントを取りがちになり、嫌われる。その延長線上に待っているのが、「コミュニティーセンターの女性講師にストーカーする定年後の男性」なのです。

コミュニケーションは慣れと場数

 私がコミュニケーション・ストラテジストとして接してきた日本人エグゼクティブの99.9%はオジサンでしたが、彼らのコミュニケーションに対する考え方はふたつに大別することができます。

 ひとつは「オレ様流コミュニケーション」です。コミュニケーションが上手いと自負している人に限って、相手の気持ちを考慮せず、自分に酔いしれて一方的に話し続ける。つまり、伝える努力をしていない。

 そしてもうひとつは「諦(あきら)め派」。自分は確かにコミュニケーション下手だが、持って生まれたものなのだから仕方がないと諦めてしまう。しかし、その必要はありません。コミュニケーションとは才能ではなく、筋肉同様に鍛えられるものだからです。

 事実、アメリカでは、幼稚園の頃からコミュニケーション術を学び続ける風潮があり、ニューヨークの街角ではコミュニケーションに関するワークショップが開かれています。アメリカ人はジムで筋トレするような感覚でワークショップに行き、肩書も性別も関係なく知らない人と話すことができるコミュニケーション力を鍛えている。このように、コミュニケーション力とは「慣れと場数」が9割なのですが、「諦め派」は早々に匙を投げてしまう。結果的に、社会的孤立に陥りやすくなってしまいます。

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