日本のオジサンは世界一孤独? 早期死亡リスクがアップ…なぜ男性は社会と繋がれないのか

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 定年、それは職場というひとつの「社会」の喪失を意味する。そして、ふと気付くと自分の周りには誰もいなくなっていた……。お金とともに、老後の大問題である「社会的孤立」。いかにして孤独に苛(さいな)まれる事態を防ぐか。ひとり寂しい晩年を迎えないための処方箋。

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「自分、不器用ですから」。そう言って多くを語ろうとしない高倉健。レイモンド・チャンドラーの小説に出てくるハードボイルドな主人公。未だに日本ではこうした寡黙な男性が「理想像」として語られています。ペラペラ喋らずに黙って働き家庭を支える、それこそが男なのだと。

 どこか不器用で、それでいて愛すべき存在のオジサンたちが追い求める「男らしさ」。しかしそれは、ひとつの大きな代償を払うことで成立しています。

 退職後、「社会との唯一の窓口」であった妻を亡くした男性が、社会との接点を完全に失い、後を追うように亡くなってしまった。

 人生でただひとつの生きがいだった仕事を辞めた男性が、近所やコミュニティーへの溶け込み方が分からずに家に閉じこもってテレビを見てばかりいる。

 上場企業の役員だった男性が、現役時代のプライドを引きずったまま、マンションの理事会で「オレ様トーク」ばかりするので老害化し、孤立している――。

 あなたの夫や父親、あるいは周りに、このような男性はいませんか?

 男らしさの追求、それは「日本の男性は世界一孤独である」という代償の上に成り立っているのです。

コミュニティーとコミュニケーションに問題を抱える中高年男性

〈こう解説するのは元新聞記者で、「コミュ力」の強化を支援するコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏だ。

 これまで千人以上の社長や企業幹部らにプレゼン・スピーチなどのコミュニケーションコーチングを行ってきた岡本氏は、数多くの「オジサン」と接してきた。

 それは同時に、無数の「孤独なオジサン」と向き合う機会でもあった。

 実際、OECDの調査では、「友人や同僚、もしくはほかの人々と時間を過ごすことのない人」の割合は日本の男性が16.7%と加盟国中最も高く、平均値の3倍近かった。また、65歳以上の単独世帯を対象にした国の調査によると、会話の頻度が2週間に1回以下である女性は3.9%だったのに対し、男性は16.7%と実に4倍以上を記録した。

 日本は孤独大国であり、とりわけ日本の男性は「世界一孤独」であることが数字上も裏付けられているのである。〉

 定年後、ふと気付くと職場以外のコミュニティーを持たずに孤独に苛まれたある男性が、思い立ってコミュニティーセンターに通ってみることにした。ところが、彼はコミュニティーセンターの女性講師のストーカーと化してしまい、周囲に煙たがられ、一層、孤立してしまった……。

 身の回りに孤独な男性はいないか尋ねると、こんな話を耳にすることがあります。なぜこの男性は、孤独の解消を求めてコミュニティーセンターに通い始めたのに、逆に、より孤立してしまう結果となったのか。それは、日本の多くの中高年男性が「コミュニティー」と「コミュニケーション」に問題を抱えているからです。

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