「潔い人」のネイティブな表現は? 在米医師が教える生きた英語

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 コロンビア大学医学部外科教授であり、ニューヨークのトップドクターとして知られる加藤友朗医師。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)の著者でもある加藤氏が日常で出会う“ネイティブ英語”を紹介。

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 僕は以前から中南米の国で子供の肝臓移植のプログラムの立ち上げを手伝うボランティアをしています。元々はベネズエラの子供のお母さんからの電話がきっかけで僕がベネズエラに行くことになったことから始まったのですが、その後にNPOを設立して、今では中南米の数カ国でお手伝いをしています。先日、その中の一つのドミニカ共和国で最初の子供の肝臓移植を現地の先生たちと一緒にやってきました。移植を受けたのは9歳の女の子で、お母さんがドナーとなる生体肝移植です。

 さて今回の表現はgood sport。sportはスポーツのsportですが、ここでは人のことです。sportには「くよくよしない人」「潔い人」という人間を指す意味もあって、good sportは、困難に直面してもくよくよせずにポジティブに考えるタイプの人のことを言います。単に“Be a sport!”のように言うこともあります。good sportは以前は男性に対して使うことが多かったのですが、今では性別に関係なく用いられます。経過がよくなくて入院が長引くと、滅入ってきて、文句の一つも言いたくなるもの。もちろんそれを受け止めるのも我々医療従事者の仕事ですが、そんな時にくよくよせずに明るく振る舞う人がいるとgood sportと言われます。

 good sportの使い方の例は“I know it is hard to accept defeat, but come out and prove to everyone what a good sport you are.”「負けを受け入れるのがむずかしいのはわかるけど、出てきて君がいかに潔い人間かを証明してください」や、“You are such a good sport. I admire you.”「あなたはなんて潔い人なんだ。感服したよ」などです。

 では練習問題です。(答えは漫画の下)

1.日本語に訳すと?
“Don’t complain, try to be a good sport.”
2.good sportを使って英語で言うと?
「彼はなんて潔いんだ。あんなふうに僕もなれたらなあ。」

加藤友朗(かとうともあき)
コロンビア大学医学部外科教授。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後渡米。世界初の多臓器摘出体外腫瘍切除手術を成功させ、ニューヨークのトップドクターとして世界中から集まる患者の命を救う。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)が発売中。

週刊新潮 2021年10月7日号掲載

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