日テレ「笑う大晦日」はなぜ惨敗したか それでも唯一絶賛された人がいる
ユルい
スガモ:年末はお笑いの仕事がなかった。
塙:毎年、ないだろ。
スガモ:だからバラエティ見てました。日テレの「笑う大晦日」見てまして……。
塙:正直、どうでした?
スガモ:「ガキ使」に比べるとユルいなと。お酒飲んだり、ネタの間の楽屋のシーンとか……。
塙:ラジオは喋るしかないからさ、芸人がワイワイ楽しく喋るってのはいいと思うんだけど、テレビで芸人がワイワイ話すのは個人的には好きじゃない。年末に酒飲んだ芸人が「自分は今年こうだった」って言うのを聞いて、誰が楽しいんだろって思っちゃう。ネタは芸人が考えるモノだから、スタッフさんからしたら、ネタだけやるっていうのは自分が制作していないって気がして、もしかしたら嫌なのかもしれないけど。そこが難しいんだろうなって思う。ネットの人の意見とか見ると、結構厳しい意見が書かれてたんだよね、「やっぱ面白くない」とか。でも、ネットの意見って割と当たってたりするからね。
スタッフの難しさとはどういうことだろう。日テレ関係者に聞いてみた。
総花的な番組に
「『笑う大晦日』は、日テレの情報・制作局のプロデューサーやディレクターの精鋭が結集し、英知を絞って組み立てた番組でした。もっとも、それが完全に裏目に出た感じです。どうしても総花的な番組になってしまうんです」
つまり、出演者全員に花を持たせようとしてしまったというのだ。だが、この番組のうたい文句は“6時間生放送! 総勢212人笑い祭り 最強ネタ&有名俳優もコラボ”だった。212人に花を持たせるのは至難の業だ。
「結局、視聴者がどこをどう楽しんでいいのかわからなくなるわけです。総花的な番組が数字を取ったためしはありませんからね」
さらに、
「根を詰めすぎるとスタッフが番組を俯瞰してチェックできなくなる。ましてや大晦日のゴールデンタイムです。裏に『紅白』はもちろん『ザワつく』も格闘技もある中で、どう戦えば一番になるのか、意志も意図も見えませんでした。どうすれば視聴者がわざわざチャンネルを合わせてくれるのか、『紅白』以上に面白がって見てくれるのか、そんな洞察力も全く感じられませんでした」
とはいえ見所がなかったわけではない。
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