元公安警察官は見た サングラスにマスク姿の指名手配犯をどうやって本人と特定したか

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脳が活性化

「指名手配中の極左暴力集団のメンバーを街中で目撃しました。彼は内ゲバ、つまり仲間内で喧嘩し、駆けつけた警官に暴力をふるって公務執行妨害で指名手配されたのです」

 男は変装していたという。

「サングラスをかけてマスクをしていましたが、彼のことは以前から知っていたので骨格や耳の形、歩き方で特定できました。彼は右肩にバックをかけ、少し右に傾きながら歩くクセがありました。デモに参加している時と違う靴を履いていましたが、私が目撃した時と同じで右の踵が減っていました。こういう細かい特徴は、瞬間記憶術で頭に刻みつけていました」

 極左暴力集団に所属する人は単独行動することは少ない。

「そのため私一人で逮捕しようとすると、仲間が現れて邪魔されてしまいます。すぐに捜査員に連絡しました。捜査体制を整え、逮捕しました」

 瞬間記憶術を身につけるためにはコツがあるという。

「魚眼レンズのように広い範囲を見ることです。頭を動かさずに目だけ動かすのです。すると視界が広がってきます。レストランなどでターゲットを監視する際、相手に顔を向けたらすぐにバレてしまいます。相手をまじまじとは見ずに、視界の片隅に入れておくのです」

 瞬間記憶術は、日常生活にも役に立つという。

「メモを取る必要がなくなるし、人の顔や名前も一度見ただけで覚えてしまいます。一度訪れた土地は頭に刻まれていますから、道に迷うこともありません。地図や時刻表を見ても、すぐに頭に入ります。脳が活性化し、記憶力が大幅にアップします。ボケ防止にもなりますね」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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