「地面師の女」検事調書が暗示する「積水ハウス」の罪と罰 「怪しい契約」が結ばれるまで

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改印手続き

「生保レディ」だった羽毛田正美(当時64)が偽造パスポートを手に入れ、「地面師の女」へと姿を変えた。「週刊新潮」2019年6月20日号「MONEY」欄に続き、「海喜舘(うみきかん)」の女将になりすました羽毛田の検事調書によって事件の内幕を明らかにしていこう。

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 地面師グループが偽造パスポートの次に手掛けたのは、海喜舘の女将、海老澤佐妃子さん(享年72)の「印鑑」。17年1月、なりすましのスカウト役とともに羽毛田が足を運んだ先は品川区役所だった。偽造パスポートを身分証明書にして改印手続きを行ったうえで印鑑証明書の交付を受けた。なりすましの準備が整い、いよいよ「積水ハウス」が登場する。

〈(4月20日、新宿の)セキスイハウスの入っているビルに着くと、私と(交渉役の)小山さん(フィリピン逃亡後に逮捕されたカミンスカス操)だけがビルに入りました〉

 ここで羽毛田は積水ハウスの担当者と初めて対面。調書には、同席した地面師グループの面々の様子や、積水ハウスが、ニセモノとはいえ地主と面会する前から不動産購入話を進めていたようだとの推測も綴られている。

 そして4月24日、羽毛田は契約書などに署名押印。海喜舘に「売買予約」の仮登記がなされ、積水ハウスは手付金12億円分の預金小切手を騙し取られた。

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