いまだに根強い「森保一監督」解任論 今からでも間に合うフリーの外国人監督5人の実名

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現実路線の2人

“初夢”はここまでにして、現実的な可能性として推薦したいのは、かつて日本代表の監督として15年のアジアカップ(準々決勝でUAEにPK戦で敗退)を戦ったハビエル・アギーレ(63)だ。イヴィチャ・オシム元監督同様、練習はすべて公開し、“頭を使う”練習が多かったのも印象的だ。

 残念ながらスペイン・リーグ時代に八百長に関与した疑いから日本代表の監督契約は解除されたが、その後は無実が判明。UAEのアル・ワフダFCやエジプト代表の監督などを務め、19年にスペインのCDレガネスの監督に就任している。

 アギーレ監督と同様、日本に馴染み深いのがブラジル代表の監督を務めたドゥンガ(58)だ。ジュビロ磐田では“闘将”としてチームを鍛錬し、強豪チームの礎を築いた。しかし監督としては、18年ロシアW杯南米予選、16年コパ・アメリカでも結果を残せずブラジル代表監督を解任されているだけに、その手腕も未知数と言わざるを得ない。

 昨年末の12月27日に30年間、鹿島アントラーズのFD(フットボールダイレクター)を務めた鈴木満氏が退任会見を行った。その会見で、来シーズンから鹿島は、新監督にスイス人のレネ・ヴァイラーを招聘するとの発表があった。

 これまでのブラジル路線からヨーロッパ路線に舵を切ったわけだが、その理由を鈴木FDは「ブラジルにも若くて勉強している指導者がいないかジーコと探したが、アルゼンチン人やポルトガル人の監督はいるもののブラジル人の監督はいない」とブラジル人監督のレベル低下を指摘した。選手はタレントの宝庫でも、指導者はそうはいかないようだ。

招聘したい知将

 実現したら快挙と言えるのが、日本代表監督にも興味を示していたと言われるポルトガル人のアンドレ・ビラス・ボアス(44)である。

 実績は申し分ない。FCポルトでジョゼ・モウリーニョ監督のアシスタントコーチを務め、スカウティングや分析などを担当。モウリーニョ監督がチェルシーやインテル・ミラノの監督に就任しても行動を共にして経験を積んだ。

 監督としてもFCポルト、チェルシー、トッテナム・ホットスパー、ゼニト・サンクトペテルブルクなどの名門で手腕を振るい、19年からはマルセイユの監督として酒井宏樹と長友佑都の2人を指導。しかし21年2月、補強選手を巡ってフロントと対立して解任され、現在はフリーである。

 若くしてヨーロッパのビッグクラブを率いた経験があり、野心もある。日本代表の監督に招聘したい知将の1人である。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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