原巨人、V逸も大型補強なし…2022年に抜擢が期待される若手は誰だ!

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スライダーとフォークは一級品

 投手では、ともにトミー・ジョン手術からの復活を目指す山崎伊織と堀田賢慎を取り上げたい。山崎は東海大で下級生の頃から主戦として活躍し、3年時は春秋連続でMVPを受賞。4年春にトミー・ジョン手術を受けて最終学年を棒に振ったが、それでもドラフト2位で指名されているところに、ただならぬ素質の高さがよく表れている。

 ルーキーイヤーの昨年は順調なリハビリが続き、秋季練習では打者を相手に投げられるまでに回復している。この2年間でしっかりと体作りに取り組めたことも大きなプラスと言えるだろう。肘の状態さえ万全なら150キロを超えるストレートと、鋭く変化するスライダーとフォークはいずれも一級品。いきなり一軍の戦力となることも期待できる。

 一方の堀田は、高校時代から大器と評判の大型右腕で、2019年のドラフトで“外れ外れ1位”で入団。プロ入り直後に右肘の故障が発覚し、シーズン開幕直後にトミー・ジョン手術を受けて、オフには育成契約となったが、その後は順調な回復ぶりを見せている。

 特に、大きな可能性を感じさせたのがシーズン終了後に行われたフェニックスリーグでのピッチングだ。10月21日のヤクルト戦と30日の広島戦に登板し、計5回を投げて7奪三振、無失点と打者を圧倒する投球を見せた。

 変化球の精度にはまだ課題が残るものの、ストレートはコンスタントに150キロを超えるなど迫力十分だ。支配下登録に復帰することが当面の目標となるが、キャンプで順調にアピールすれば、一気に一軍昇格が見えてくるだろう。

 原監督の第二次政権では小笠原道大やラミレス、村田修一、杉内俊哉といった他球団からの移籍組の働きが大きかったことは確かだが、投手では西村健太朗や山口鉄也、越智大祐、沢村拓一、菅野智之、野手では坂本や亀井善行、長野久義といった選手の抜擢も大きかった。現在もチームを支えている菅野と坂本に代わる選手をいかに発掘することができるかが、原監督にとって“最後の大仕事”になる。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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