コロナ対策が上手くいった松本市の事例 行政の成功モデルを振り返る(古市憲寿)
一枚の写真がある。日付は2015年12月22日。今から約6年前のことである。少し弱気な顔をした中年男性を囲むように、8人で撮った記念写真。場所は新宿の歌舞伎町だった。背景には下品な看板が並んでいる。
その日は、その男性の送別会であり、壮行会でもあった。彼の名前は、臥雲義尚(がうんよしなお)。NHKで記者や解説委員として活躍していたのだが、50歳を過ぎて退職を決意、故郷の長野県松本市で市長選に立候補した。
あの日の熱気を思い出す。汚い中華料理屋の個室だった。...