良質な音楽番組という声もあるが……史上最低視聴率の「NHK紅白」に欠けていたモノ

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無駄のない進行

「大泉洋の『ブラボー!』がうるさかったという声もあるようですが、司会はほとんど3ショットで進め、基本的に余計なことは喋らず、簡潔に進行していました。歌唱の直後を次の出場者のVTRでぶった切ることもありませんでしたし、グズグズなところもなかった。会場となった東京国際フォーラムの外部やNHKのスタジオも使い、生オーケストラも東京フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団を惜しげもなく投入していました。なぜNHK交響楽団を使わないのかと疑問も浮かびますが、プロジェクションマッピングを駆使したり、映像的にもとても楽しめたと思います」

 ところが……、

「おかげで良質な音楽番組になってしまいました。それは国民的なお祭り『紅白』ではないんです。合格点と言われる視聴率40%を取るためには、国民的な“お約束”と“大茶番”は欠かせません。いくらジェンダーレスが叫ばれようと、男女に分かれて紅勝て!白勝て!と無駄な応援合戦を繰り広げ、司会者たちは息を切らして舞台を駆け回る……。そうした除夜の鐘から初詣、お雑煮に繋がる、ニッポンの大茶番の楽しみを奪ってはならないのです。それを欠いたのが、紅白の最大の敗因です」

 たしかに「ミュージックステーション」(テレビ朝日)のスペシャルでも見ているような感覚で、大晦日らしさに欠けたような気もする。

受信料不払いになりかねない

「今回は米津玄師やYOASOBIといった目玉となる初出場もいなかったことに加え、NiziUや純烈は早くもフレッシュ感が失せてしまいました。ならばAKB48でも良かったと思います。卒業した前田敦子や川栄李奈を加えればスペシャルコラボと名乗ることもできたし、数字も期待できた。12月7日に放送された『うたコン』の忘年会スペシャルに生出演した工藤静香も期待したんですけどね……」

 良質な音楽番組をNHKのNo.1アナが司会したところで結果は出ない。何とも難しいものである。早くも今年の紅白が心配になってくる。

「“皆さまのNHK”ですから、必ず変えてくるでしょう。このままでは受信料不払いに繋がりかねません。ただ、紅組白組の司会をなくしてしまったのは後戻りはできないでしょうから、今年6月に改修工事が終わるNHKホールを目玉に、舞台演出中心の番組にするとみています」

 中継が多すぎるのも紅白らしくなかった。

「出演歌手や審査員の人選もコンサバティブに戻すかもしれません。広報にもより力を入れるようになるでしょうね。嵐や元SMAPも、何らかの形で取り込むかもしれません」

デイリー新潮編集部

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