良質な音楽番組という声もあるが……史上最低視聴率の「NHK紅白」に欠けていたモノ
「第72回NHK紅白歌合戦」の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯)が史上最低を更新した。番組後半は34・3%と、一昨年の40・3%から一気に7ポイントも落ちたのだ。果たして、原因はどこにあったのか。
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ちなみに前半の視聴率は31・5%で、こちらは史上最低というわけではなかった。90年の第41回(紅組司会:三田佳子、白組:西田敏行)と06年の第57回(紅組:仲間由紀恵、白組:中居正広)で共に30・6%という記録がある。
もっとも、第41回は後半で51・5%まで盛り返した。第57回の後半も39・5%と40%台に迫ったのだから、今回の後半34・3%がいかに低いかがよくわかる。民放プロデューサーに聞いた。
「地域的に見ても、今回の紅白は全国的に低かった。北部九州地区などは前半が26・5%、後半が30・1%と危うく30台を切るところでした。ただ、史上最低記録を更新したことについては、意外ではありませんでしたけどね」
デイリー新潮は「今年の紅白総合司会は実力派『和久田麻由子アナ』 それでも“やらかし系”を望む声」(21年12月30日配信)で、これまでの史上最低記録は和久田アナが総合司会を務めた19年の第70回後半(37・3%)であること、そして、再び彼女が司会を務める今回は記録を更新するかも、と予想していた。
ハラミちゃんの謎
「いくらNHK実力No.1の和久田アナでも、お祭り騒ぎには向かないからです。彼女よりもやらかし系の桑子真帆アナのほうが、紅白という舞台には合いますからね。なにより今回は、制作サイドの“何が何でも視聴率を取りに行く”という気概がまったく感じられなかったことが最大の敗因でしょう。キャスティングだって本当に全力を尽くしたのか疑問です。前回の紅白が最後のテレビ出演となった嵐もいなければ、松田聖子も出場辞退ですし……」
嵐は活動休止中だし、松田聖子もしかたがない。
「ヒゲダン(Official髭男dism)に出場辞退されたという声も根強いですし、ストリーミングなどの総再生回数が1億回を突破した若者に人気の緑黄色社会がなぜいないのでしょうか。トップバッターは彼女らの『Mela!』だとばかり思っていました。また、若い人には興味がないかもしれませんが、五木ひろしが前回まで50回連続出場を果たしていながら、最多出場の51回を目前にして出場を辞退したのも、紅白の印象を悪くしたと思います」
いかにも北島三郎の記録(50回出場+特別枠1回)に気を遣ったような感があるが、関係者の間では五木は事実上のクビを言い渡されたとの見方がもっぱらだという。
「さらに、出場内定が報じられていたハラミちゃんは、なぜ突然降りることになったのか。大物ミュージシャンとのコラボが不調とも報じられましたが、ネット上でウワサされる松田聖子ではないと思います。大トリのMISIAに、サプライズとして藤井風がピアノ伴奏していたのが気になるところですが……」
それでも番組自体は決して悪くなかったというのだ。
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