2027年に韓国の1人当たり名目GDPは日本を上回るという試算は本当か

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日本以上の高齢化

 取引の減少は不動産市場が上昇から下落に転換する重要なシグナルだ。家計が主たる不動産購入者であることから、銀行をはじめとする金融機関が家計向けの融資を絞り始めていることが影響している。

 韓国銀行(中央銀行)も2021年8月に基準金利を0.25%引き上げた。韓国銀行は12月23日に発表した報告書の中で「国内の不動産価格のバブルは25年ぶりに最も大幅に増えた」との見解を示した。ソウルの不動産価格は市民の平均所得の18.5倍と過去最高となり、家計負債の規模(約180兆円)も名目GDPを超えてしまっている。韓国銀行は「不動産バブル崩壊が起きる確率は10%」とした上で「そのような事態になれば経済成長率はマイナス3%になる」と警告を発している。

 経済のハードランディングを回避するため、韓国銀行は来年3月末までに基準金利をさらに2回引き上げるとの観測が出ているが、「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」。予防策によって不動産市場がさらに不調になれば、過度な借金を抱えている家計が不動産の売りに殺到し、住宅価格が急落してしまうことだろう。

 日本の不動産バブルの際には企業が多額の負債を抱えていたが、韓国の場合は借金の多くを個人が負っている。このため、韓国でバブルが崩壊すれば、その影響が広範囲に及び、日本のバブル崩壊の時より深刻な状況に陥ると懸念とされている

 バブル崩壊後の日本の不動産市場が長期にわたり低迷したが、人口動態の状況が関係していた。1990年の日本の高齢化率は11.4%となり、社会の高齢化が始まっていたのだ。このことは「若い世代が家庭を築いてマイホームを所有する動きが鈍化する」ことを意味しており、日本の不動産市場が長きにわたって需要不足に苦しめられた。

 2020年の韓国の高齢化率は15.4%だ。30年前の日本以上に高齢化が進んでおり、その速度も日本の2倍だとされている。韓国の不動産市場の前途には日本以上の「茨の道」が待っていると言えよう。

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