変わる「福岡」のラーメン事情 “非豚骨”の店の数が“豚骨”の店を上回る
若者の支持を受けた「らぁ麺 なお人」
中央区渡辺通にある『らぁ麺 なお人』は2020年1月にオープンした。店主の松崎七音さんは、福岡内にあるいくつかの豚骨ラーメン店に10年ほど勤め、その後に東京の有名店『らぁ麺はやし田』で1年半修行し、福岡で現在の店舗を出した。
店はおしゃれなビルの1階にあり、内装もカウンターからキッチンの様子が分かるように作られた東京スタイル。『鶏と鴨の醤油らぁ麺』 『高級のどぐろらぁ麺』などのラーメンは『はやし田』で学んだことを活かしつつ、醤油などは地元・九州のものを使っている。
松崎さんに福岡で非豚骨系ラーメンを出す難しさはあるか聞いたところ、意外な答えが返ってきた。
「よく聞かれるんですが、実は真逆です。僕は豚骨の大手といわれる店で働いてきましたが、豚骨王国の福岡で豚骨ラーメンの店を出す方がむしろハードルが高い。豚骨ではない、福岡にはまだないようなジャンルのラーメンに勝算はあると考えていました」(松崎さん)
実際『らぁ麺 なお人』はオープン初日から店の前に行列ができる人気で、現在もその人気は変わらない。松崎さんによれば特にカップルや女性客からの支持が厚いという。
「実は福岡でも豚骨のにおい、豚骨ラーメン自体が苦手という人も結構多いんです。それに東京のラーメンは一杯の盛り付けからして美しい。のどぐろを使ったラーメンの珍しさや、ラーメンの盛り付けが“映える”とインスタグラムで一気に広がりました。オープン前は心配もあったんですが、最初からスタートダッシュができました」(松崎さん)
福岡の若い人にとっては、どうやらラーメン=豚骨という意識は薄れてきているようだ。
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