レースクイーンから「ギャラ飲み」斡旋業に… 貯金2000万円のアラサー女が口にした“不安”

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憧れの芸能人とギャラ飲みしたが…

 ギャラ飲みで会った中には芸能人もいるといい、一番の大物は?と聞くと、あるジャニーズグループのメンバーがいる席に呼ばれた時の話をしてくれた。

 いわく、小学校の頃からグループのコンサートに通っていたファンだったそう。憧れ続けて10数年の本人が目の前におり、しかも「会場は貸し切りのカラオケ付き飲食店だったんですけど、いつの間にか彼と別室で二人きりになっていたんです」という絶好のシチュエーション。もちろん、ギャラ抜きでお持ち帰りされるのも辞さない相手だった。

 だがいよいよ、という瞬間に、

「もうその時、私はベロベロに酔っ払ってて。緊張しすぎてワインがぶ飲みしちゃってたんです。吐き気が限界で。でも床に吐くのはお店に申し訳ないと思って、テーブルに置いてあった空のグラスに吐いたんです。それでドン引きされて……『もうやめとこうか』といわれて、それっきりでした」

 実物はどうだったのか?

「肌荒れがすごくて、思ったより背が小さかったですね」

貯金は2000万円でも口にした不安

 現在、珠緒は「財布を持ち歩いていない」生活を送っているそうだ。

「PASMOをスマホに入れてありますしね。昼も夜もご飯はギャラ飯で済ませます。洋服も、“買い物案件”っていうのがあって、渋谷の109なんかに一緒に行って、服を買ってもらう。ギャラ自体は5000円くらいで安いんですけれど、3万円くらいの服代が浮きますから大歓迎。美容院やエステは、無料モニター募集がギャラ飲みのグループLINEでいつも出回っているし。ホント、お金使うところがないんです」

 30歳を前にして、貯金は2000万円あるそうだ。一方で、こんな将来への不安も口にする。

「最近、彼氏と別れたんです。友人の紹介で知り合って、2年ぐらいは付き合いましたかね。普通の会社員ですよ。もちろんギャラ飲みの仕事は内緒にしていました。別れたのは、彼と金銭感覚があわなかったからです。レストランとかに連れて行ってもらっても、ギャラ飯で連れて行ってもらうような良いお店と違って。口には出しませんでしたが『ショボい』と思っちゃったんですよね。誕生日のプレゼントも……グッチのペンダントでした。わたし、結婚できるんですかね」

 なにより“一緒に飯を食べているのにギャラが出ない”男との付き合いに違和感を覚えていた、というから問題は根深い。風俗で働いていた経験のある私も、その感覚はよく分かる。恋人と過ごしているときも「これが仕事だったらお金になるのに」と考えてしまうのだ。彼女も「売る女」の思考になりつつある。しかし、そう生きるほどの覚悟が感じられない。

「いつまで今の仕事をやるか、ですか? 多分、35歳ぐらいまでですかね。あと10年ぐらいは……。でも、最近知り合って案件をふるようになった40代の人、めちゃくちゃ綺麗でしたから。お客さんの大半は『20代の子』っていうリクエストが多いですが、最後は年齢よりも見た目が重視ですしね。もうちょっとギャラ飲みで暮らしていけるかな……でもそろそろ、投資とか考えた方が良いんですかね。みんな仮想通貨とか株をやってるので。どうなんでしょう?」

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、様々な業種を経験。23歳で引退し、作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』ほか、主な著作に『売る男、買う女』『東電OL禁断の25時』など。Twitter: @muchiuna

デイリー新潮編集部

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