元公安警察官は見た 金大中事件で初の「好ましからざる人物」に認定された韓国一等書記官
発動は10月26日
まず、PNGを出す必要性があるかどうか審査するという。
「PNGを発動すると少なからず影響が出ます。日韓関係が悪化し、経済にも影響が出ます。ですから、当時の外務省はPNGを出すかどうかでかなり迷ったと思います。PNGは伝家の宝刀ですから、簡単には抜けないのです。実際は発動するまでに少なくとも数週間はかかります」
外務省は金書記官に対して出頭拒否すればPNGの発動もあると警告していた。ところが、発動したのは事件発生から2カ月以上経った10月26日だった。
さらに外務省がPNGを出したことを明らかにしたのは、11月1日だった。当時の朝日新聞(11月2日付)によると、
《高島局長によると韓国政府は十月二十五日、外務省に金書記官の離任通知(二十三日付)をしてきた。外務省が後宮大使を通じ翌二十六日この離任通知の説明を求めたところ、韓国側は「金書記官の容疑が出てきたため、外交官の身分のままでは捜査手続きがとれないので、同書記官を免職にした」と回答。日本側は、この日ただちに『好ましからざる人物』の一方的通告をしたという。》
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