公務員のボーナス0・15ヶ月削減「先送り」 官邸官僚が考える給与削減阻止の理屈

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結局、税金や保険料

 先送りした分、夏のボーナスが削られるうえ、月給も引き下げになる可能性が出てくるというのだが、「霞が関官僚は岸田内閣で一発逆転を狙っている」と語るのは経済ジャーナリストだ。

「公務員の給料が景気へ影響を与えてはいけないというのを金科玉条にすれば、給与引き下げを回避できると考えているんです。官邸官僚が岸田首相に吹き込んでいるようで、政府が12月24日に閣議決定した2022年度当初予算案に盛り込まれた『看護や介護、保育分野の処遇改善』を突破口にするつもりです」

 岸田首相が看護士や介護士、保育士などの収入を来年10月から3%程度引き上げるためとして約600億円を予算措置している。それと公務員給与とどう関連するのか。

「こうした職種はサービス価格が保険などで決められている『公的価格』です。公的サービスの引き上げは結局、税金や保険料ですので、国が予算をばら撒けば引き上げは可能。岸田内閣は分配を『公的部門』から始めようとしているようです。そうした流れの中で、公務員給与を引き下げるのは流れに逆行する、というのが官邸官僚の理屈でしょう」(同)

 実は、似たような理屈は地方自治体も言い出している、と前出の地方部デスクは言う。

「市役所職員のボーナスを減らせば、地元商店街などでの消費が減って地域経済にマイナスだというのです。逆に、もっと職員の給与を増やせば、景気対策になると言い出しかねません」

民間企業が利益を上げるのが健全

 この調子では国も地方も、景気を良くするには公務員給与を増やせばいい、という主張がまかり通ることもあり得るという。だが、本当に公務員の厚遇が景気にプラスになるのか。大学教授が解説する。

「消費にお金が回るので短期的にはプラス面もあります。しかし中長期的には、国や地方自治体の人件費が増えれば、その財源を確保するために増税などで穴埋めするか、他の支出を削って人件費に回す必要が出てきます。役人の場合、直接利益を生む業務に従事していませんから、公的部門の人件費を肥大化させても経済的にはあまり付加価値を生んでいるとは言えません。やはり民間企業が利益を上げ、それが人件費の増加につながる形が健全なのです」

 岸田首相が言う「分配」が民間セクターではなく、公的セクターへの分配増だとすると、ますます民間は貧しくなっていく。官僚の給与を増やせば景気が良くなるというのは、どう考えても危険な論理でしかない。

デイリー新潮編集部

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