「めんどくさい人」卒業が進む芸能界…BIG3の中で一人勝ちするタモリの存在感
いまのテレビは、「めんどくさい人」がもっとも敬遠されているのではないだろうか。今期で番組終了や卒業が決まったMC陣を見て思う。例えば、「バイキングMORE」の坂上忍さん。自分と違う意見に対し不満げな顔を見せたり、キツい言い方をする進行には批判も多かった。また「グータンヌーボ2」の田中みな実さん。承認欲求や負けん気の強さは、翌日ネットニュースを騒がせるのが常である。「新・情報7daysニュースキャスター」のビートたけしさんも、血の気が多い人だ。みな才能にあふれ、優れた洞察力と率直な物言いが持ち味である。一方でそのこだわりの強さが、「めんどくさい人」と言われがちなタレントでもあった。アンチもいてこそ大物の証しだが、「嫌いなタレントランキング」に名前が上がることも少なくない。
気難しい人、政治的主張をする人、笑いのツボがずれている人、こだわりが強い人。みんなまとめて「めんどくさい」と呼ばれる世の中。多様性を掲げながらも、人と違う部分に引っかかる人は「めんどくさい」。そうした風潮にめんどくささを覚えていたのは、坂上さんたちとて同じだったのではないだろうか。坂上さんもたけしさんも、番組卒業のタイミングは常々考えていたことを明かし、今後は動物愛護や創作活動など、自分のライフワークに注力していきたいとコメントを寄せた。
ただ、「めんどくさい」人でありながらも、長年トップの座をキープしているMCがいる。それがタモリさんである。「笑っていいとも!」の功績は有名だが、「タモリ倶楽部」「ミュージックステーション」も30年以上続く長寿番組。ジャズ好きとして知られ、いいとも時代も共演者のリズムを崩すような即興芸やリアクションを面白がる人だった。出演者から見れば「めんどくさい」人であり、怖い存在だったことだろう。
芸能界入りのきっかけを作った赤塚不二夫さんの葬儀では、白紙の弔辞が話題になった。常識の枠を外すこと、既定路線を壊すことを常に意識しているタモリさん。76歳の今も、イグアナ芸をやっていた頃の破天荒さは全く衰えていない。
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