天海祐希が主演した連続ドラマ は全20本 視聴率ベスト3、ワースト3を調査 「緊急取調室」はいずれにも入らず

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ワースト3位

 さて、ここからは“視聴率女優”天海祐希を持ってしても低空飛行に終わった作品の紹介である。

 ワースト3位となったのは12年4月クール作品の「カエルの王女さま」(フジ系)。かつて日本でミュージカルスターとして活躍するも、ニューヨークのブロードウェイでは落ちこぼれてしまった倉坂澪を天海は演じた。高校時代の恩師の手紙で帰郷した彼女は、ママさん合唱団のコーチを務めることに。だが、いざ戻ってみると故郷は財政難にあえいでいる。街の活気を取り戻すため、澪はママさん合唱団で町おこしをするべく奮闘するというストーリーだ。

 劇中では70年代以降の日本の音楽シーンを彩った数々の名曲が使われている。何度も出てくる天海の歌唱シーンも“さすがは元・宝塚“と思わせた。だが、素朴な田舎の世界観と派手なミュージカルの要素が、噛み合っていなかったように感じた。高校の合唱部を舞台にしたアメリカの大ヒットドラマ「glee」を意識したと思われるが、完成度はいまひとつ。平均視聴率は9.1%だった。

 ワースト2位は10年7月クール放送の「GOLD」(フジ系)だった。天海が演じる早乙女悠里は都内に巨大なスポーツジムやエステを経営するバリバリの“セレブ”でありながら、独特の教育論で子供たちを育てあげ、“五輪の金メダル”を取らせることを最重要課題として生きる女性。脚本がヒットメーカーの野島伸司ということもあって、高視聴率が期待されたが、平均視聴率は8.9%に終わってしまった。

 野島作品といえばシリアスでドロドロした展開でおなじみだが、本作は天海とその秘書・新倉リカ役の長澤まさみとの掛け合いがコメディになっていたのが特徴だ。ゆえに“野島伸司らしさ”を求めた視聴者にとっては期待外れだった可能性があるといえる。笑えるシーンとシリアスな人間関係の緩急が絶妙だし、天海の子供役で若き日の松坂桃李と武井咲が出ているので、個人的にはまた見返してみたい作品なのだが……。

 ワースト1は、16年10月クール放送の「Chef~三ツ星の給食~」(フジ系)で、その平均視聴率は7.0%どまりであった。天海が演じたのは世界中から注目される三ツ星レストランの天才女性シェフ・星野光子。光子はオーナーの陰謀でレストランを辞めさせられるが、テレビ番組の企画で“学校給食”を作ることになる。世界最高の料理を作ってきた彼女にとって、たやすいオファーだと思われたのだが、栄養や経費など多くの壁にぶつかり失敗が続いてしまう。

 数あるグルメドラマでも「学校給食」という題材は新鮮だったが、光子が自分の才能を鼻にかける天狗的なキャラという描写を早々にしてしまったため、罠にはめられても視聴者が同情出来なかった点が敗因だろう。

 もっとも、最終回まで付き合った視聴者の評価は異常に高い。光子はどんなに屈辱的な扱いを受けても、どんなに邪魔されても“最高に美味しい料理を作る”ことに努力を惜しまない。その姿が周囲の人たち、給食室のメンバーたちの意識も変えていく。その過程が痛快なのである。ドラマは視聴率がすべてではないということを再認識させられる作品である。

 天海祐希主演の連ドラは「緊急取調室」4th SEASONを含めてちょうど20作。そのうち平均視聴率が二ケタを割った作品は、上記の3作に「演歌の女王」(日テレ系・07年1月クール放送、平均視聴率9.2%)を含めたたった4本。やはり数字を“持っている”女優なのである。

上杉純也

デイリー新潮編集部

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