ヨーグルト以外の「ヤセ菌」食材とは 朝食に「発酵性食物繊維」の理由は?
ヌルヌル、ネバネバの食品を
どちらの食物繊維が多く含まれているか、見分ける方法はあるのだろうか。管理栄養士の望月理恵子氏に聞くと、「ヌルヌル、ネバネバ、トロッとした食品に水溶性、ガサガサ、モソモソした食品には不溶性食物繊維が多く含まれる」という。
「海藻類、例えば昆布やもずく、めかぶの表面のトロッとした部分にはアルギン酸という水溶性食物繊維が豊富です。海藻類の中ではひじきが最も多いですが、手軽に取り入れられるものはワカメ。ふえるワカメを水で戻した後に炊いたご飯に入れてワカメご飯にしたり、サラダや味噌汁に入れたりするといいでしょう。オクラを切った時のネバネバ成分もペクチン、ガラクタン、アラバンという種類の水溶性食物繊維。キノコ類、特にナメコやエノキダケにも含まれます。煮たり蒸したりすると栄養素が流れ出てしまうので、煮汁ごと食べるのがいいでしょう」
その水溶性食物繊維の中でも「イヌリン」という種類が、ほかの種類よりも短鎖脂肪酸を多く作りやすいことが動物実験で報告されている。イヌリンを多く含むのが「ゴボウ」だ。一般的には不溶性2に対して、水溶性1の割合が“食物繊維の黄金バランス”といわれるが、ゴボウはその割合に近い優秀な食物である。
また「アボカド」も不溶性2に水溶性1の割合と、食物繊維がバランスよく豊富に含まれる。
「アボカドの種(たね)は、水溶性食物繊維やポリフェノールが一層豊富なので、私は“アボカドの種茶”を考案しました。種を適当にスライスして2リットルくらいの水で煮出してお茶がわりに飲むんです。味は苦い紅茶のような感じなので、苦手な人はレモン果汁を入れてください」(望月氏)
食パンより全粒粉のパン
さらに最近、短鎖脂肪酸を増やす新たなカテゴリーとして注目されているのが「発酵性食物繊維」である。
「発酵性食物繊維は、(短鎖脂肪酸の酪酸を作る)酪酸菌を増やすことが報告されています」
と、大人のダイエット研究所代表理事で管理栄養士の岸村康代氏が説明する。
「水溶性食物繊維のほぼ全てと、不溶性食物繊維食品の一部が発酵性食物繊維に該当します。発酵性食物繊維を取ると、大腸の中で発酵して短鎖脂肪酸が産生されやすくなるんです」
岸村氏は発酵性食物繊維の中で「全粒穀物」を一押しする。
「腸の前半、中盤、後半で、働く食物繊維が違います。本来はどの場所でも短鎖脂肪酸を作り出せるのが理想なのですが、腸の後半部分で働く食品が少ない。最近の研究で小麦のふすま(外皮、ブラン)に含まれるアラビノキシランが腸の奥で発酵して短鎖脂肪酸を生み出すことがわかってきました。大麦に含まれるβ-グルカンにも同様の働きがあります。いつもの主食をこういったものに“置き換える”ことをお勧めします」
食物繊維は、1日の目標摂取量が男性20~21グラム、女性17~18グラム以上とされるが、野菜摂取の目安として提案される“両手のひらいっぱい”というようなわかりやすい指標がない。まずは1日に最低1回、主食に発酵性食物繊維が豊富な食品を取り入れるのがいいだろう。
具体的には普段の白米や食パンから、「全粒粉のパン」「玄米」「大麦」、大麦を加工した「押し麦」や「もち麦」、全粒粉が含まれたシリアルに置き換える。
近頃、全粒穀物を加工した「オートミール」に水をかけて温め、粥状にして食べるのが人気だ。主食として米に見立てて食べるため「米化(こめか)」と呼ばれる。望月氏も時々、好んで食べるという。
「シリアル系は苦手なのですが、市販のオートミールを使ったチーズリゾットがおいしいと思いました。オートミールは小麦ふすまより効果は劣るものの、β-グルカンやアラビノキシランが含まれ、大麦のようなメタボ予防や健康効果が期待できます」
[3/4ページ]